新生アルピーヌA110開発エンジニアが来日 語る、誕生までの裏話 後編
公開 : 2019.07.28 11:50 更新 : 2021.05.13 12:00
アルピーヌA110の開発エンジニアが来日。後編では、マニュアルを不採用にしたワケ、メディアが「ライバル車」と呼ぶクルマについて、A110の派生モデルの展望を語ります。
もくじ
ー A110、マニュアルを不採用のワケ
ー 成功の理由 ケイマン/エリーゼとともに
ー 今後はA110派生モデルが出る?
A110、マニュアルを不採用のワケ
アルピーヌA110のマニュアル・トランスミッションの採用について、ルノー・スポールのコンペティション・ディレクターのジャン=パスカル・ドースは、次のように語る。
「もちろん可能性として研究はしました。DCTによる2ペダルとMTによる3ペダルという、2種類のトランスミッションをポルシェ911 GT3のように用意するということですね」
「そもそも当初、ジョイント・ベンチャーのパートナーでコンポーネント共有をする予定だったケーターハムは、MTとレバー式のハンドブレーキが欲しいということでした。ケーターハムとは2年間ほど開発を共にしましたが、後輪駆動と足回りでスポーツ性を出す方向性は共有しつつも、そこに至るソリューションや考え方は相互補完の関係で、色々な示唆が得られた幸せな時間でした」
「今日、アジアとアメリカでは2ペダルATが主流ですし、逆にいえば3ペダルMTは欧州的過ぎる。つまり輸出するクルマとしては2ペダルの方が向いていることは確かです。だから2ペダルを採るならば、やる以上は最高のDCTにしなくてはならない、これは必須要件でした」
「ハンドブレーキについても、今やレバー式を採用する方がサポートやワイヤーといったパーツが必要で物理的には重くなります」
「トランスミッションについては、ドライビング・プレジャーの観点で3ペダルと2ペダルを比べても、今や2ペダルDCTがプレジャーを減らす方向ではないこともテスト走行を重ねて判明しました」
「この点に関しては、わたしたちの開発チームとサプライヤであるゲトラグの努力による部分が大きいですね」
それにしても、デビュー年に世界中であらゆる賞を獲得し、瞬くまにスポーツカーとしての高い評価を勝ち得た理由を、ドースはどう考えているのだろう?