BMW Z4 vs ポルシェ718ボクスター vs アウディTT 比較試乗 Z4、強豪に勝てる?
公開 : 2019.08.11 11:50
BMWの新型Z4をポルシェ718ボクスター、アウディTTとの比較試乗に連れ出しました。兄弟とも言える存在のスープラが、ケイマンとM2を相手に見事な勝利を上げたのは記憶に新しいところですが、このクルマもスープラに続く勝利を飾ることはできるのでしょうか?
もくじ
ー歴史を塗り替える存在? 雨にも恩恵
ー伝統のオープントップ 変わり種の1台
ー驚異の5気筒 ドライでは物足りない
ー集中力が必要 長距離も得意
ーエンジンが問題 オープントップとして
ー僅差の勝利 まったく異なるスポーツカー
ー番外編1:予算13万円〜 中古車を探せ(1) アウディTT
ー番外編1:予算13万円〜 中古車を探せ(2) ポルシェ・ボクスター
ー番外編1:予算13万円〜 中古車を探せ(3) BMW Z4
ー番外編2:アウディTTの未来
ーBMW Z4 M40iのスペック
ーポルシェ718ボクスターTのスペック
ーアウディTT RSロードスター・スポーツエディションのスペック
歴史を塗り替える存在? 雨にも恩恵
まるでお約束のようだ。7月中旬、英国の気温が30℃台半ばにまで上昇してわずか2週間しか経っていないと言うのに、オープントップスポーツノースウェールズを舞台にしたオープントップスポーツの3大モデルの対決には、早くも暗雲が立ち込めている。
天気の神様の仕業か、思わず空に拳を突き上げながら、なぜ他でもない今日に限って雨が降るのかと悪態をつきたくなるような、そんな訳の分からないことが理由なんだろうか?
いずれにせよ、新型BMW Z4 M40iは、この種のモデルとしては英国に上陸した最新の1台であり、先代までは傑出したドライバーズカーとの称賛を受けることはなかったが、この3代目はこれまでの歴史を塗り替える存在になるとBMWでは確信しているようだ。
そういう意味では、ニュルブルクリンクでM2よりも3秒早いラップタイムを記録したと言われているのは良い兆候だろう。さらに、数週間前、異母兄弟とでも言うべきトヨタ・スープラが、ポルシェ・ケイマンTとBMW M2を凌ぐパフォーマンスを発揮したという事実にも勇気づけられるに違いない。
だからこそ、同じようなライバルたちを集め、丘陵地帯へと向かうことにしたのであり、それが、いまB4391号線沿いにある、風が吹く雨に濡れた駐車場で、Z4とポルシェ718ボクスター、そしてアウディTT RSロードスターの3台がずぶ濡れになっている理由だ。
だが、ここに座って、降り続く霧雨のなか、カメラマンがカバンのなかから相応しいレンズを探し出そうとしているのを見ていると、誰も天気予報をチェックしなかったことさえ、決して悪いことばかりではなかったと思えてくる。
見晴らしの良いここからであれば、今回集まった3台がどれほど異なったモデルかがよく分かるだけでなく、2019年のオープントップ市場の多様性を実感することができるだろう。
伝統のオープントップ 変わり種の1台
この3台のなかでは、Z4がもっとも伝統的なオープントップスポーツカーに近い。力強いロングノーズの下には、3.0L直列6気筒ターボエンジンが縦に積まれ、340psのパワーと51.0kg-mのトルクはZF製トルコン式8速オートマティックギアボックスと、電子制御式リミテッドスリップディフェレンシャルを介して後輪へと伝達されている。
スタンダードなZ4よりも車高が10mm低くなるアダプティブMスポーツサスペンションには、電子制御式ダンパーが組み合わされており、先代モデルのメタルルーフに替えてキャンバストップを採用したことで、軽量化とともに低重心化も実現したお陰で、少なくとも個人的にはより本格的なスポーツカーだと感じる。
それでも、このクルマの車重は今回の3台ではもっとも重い1535kgにも達している。
一方のボクスターは成り立ちの異なるモデルであり、車体中央に積まれた2.0Lフラット4が発揮する299psというパワーはやや物足りなく感じさせるが、このTは、718ボクスターのなかではもっともシャープで、ドライビング性能に特化したモデルだと言われている(もちろん、ヴァイザッハ謹製のスパイダーは除く必要がある)。
だからこそ、リアにはトルクベクタリング式ディフェレンシャルを備えるとともに、車高が20mm低められ、アクティブドライブトレインマウントとポルシェ・スポーツクロノパッケージが標準となっているのだ。
それなりの軽量化策も施されており、Tの1350kgという車重は今回集まったなかでは最軽量であり、さらに、非常に喜ばしいことに、このクルマだけが唯一6速マニュアルトランスミッションを搭載している。
こうした2台に比べると、TTはやや変わり種ともいうべきモデルだ。まず、このクルマはフォルクスワーゲン・ゴルフとプラットフォームを共用しており、過去20年にわたって、スタイル優先との批判を受けてきたモデルでもある。
だが、例えそうだとしても、このRSであれば、TTもこの3台のなかで注目に値すべきモデルだと言えるだろう。