踏切内で立ち往生 もしもの場合どうすれば? 非常ボタンで損害賠償、心配は不要
公開 : 2019.09.06 09:06 更新 : 2021.10.13 14:01
京浜急行電鉄の脱線事故。他人事ではないのです。もし、そんな状況に陥ってしまったとき、どういった対処をするのがベストか。非常ボタンで損害賠償? などを調べました。
踏切でトラブル 可能性ゼロにあらず
9月5日に発生した京浜急行電鉄の脱線事故。
事故の原因は、大型トラックが狭い側道から侵入した際に曲がり切れずに立ち往生してしまった結果であり、残念ながらトラックドライバーは死亡、33人が軽傷を負う惨事となってしまった。
トラックは本来の運行ルートとは異なるルートを使ってこの踏切に進入したとみられており、渋滞回避を目的に狭いルートに入り込んでしまったようだ。
スマホの無料ナビゲーションアプリなどでは、普通車を乗っていても通るのに難儀するようなルートを指定されることもあり、冷や汗をかいた経験があるひとも少なくないのではないだろうか。
また、踏切を渡っている最中に車両トラブルに見舞われたり、前のクルマが詰まっているにもかかわらずうっかり踏切に進入してしまって立ち往生してしまったりと、期せずして踏切内にとどまってしまう可能性は決してゼロではない。
果たしてそのような状況に陥ってしまったとき、どういった対処をするのがベストなのだろうか?
踏切トラブル 迷わず「非常ボタン」
踏切には基本的に踏切支障報知装置、いわゆる「非常ボタン」が設置されている。
これを押すことで速やかに列車の運転士や運行事業者に踏切内で異常が発生していることを知らせることができるため、今回のような最悪の事態を防ぐことができるのである。
そして非常ボタンを押したら速やかに車両から離れ、安全な場所から非常ボタンの下に書かれている連絡先に事情を伝える、というのがベストの方法だ。
中には踏切の警報器が鳴るまでは粘って脱出しようと考えるひともいるかもしれないが、警報器が鳴っておよそ30秒後には列車がやってきてしまう。
よって、警報器が鳴ってから非常ボタンを押したのでは間に合わない可能性もある。
特に今回の事故のように快特列車の場合は運行速度も高いため、運転士が立ち往生した車両を目視して非常ブレーキをかけたとしても止まり切れない可能性も少なくないのだ。
非常ボタンで損害賠償? 心配は不要
なお、非常ボタンを押すと「列車が止まったことによって発生した遅延などの損害賠償が請求される」、という噂がまことしやかに語られているが、危険を回避するために非常ボタンを押したことで損害賠償請求がなされるということはない(もちろんイタズラで押すのはその限りではないが)。
たとえ非常ボタンを押したあとに車両が踏切から脱出できたとしても、それは結果論であり、危険を回避するために押したという事実は揺るがない。
よってドライバーだけでなく、それを見かけたひとであってもためらわずに非常ボタンを押すことで今回のような最悪の事態を避けることができる。
最近では踏切障害物検知装置に連動して自動的に列車側にブレーキがかかるシステムも導入されつつあるが、これも自動車の衝突被害軽減ブレーキと同じく過信は禁物。
やはり踏切でトラブルが発生していることを伝える非常ボタンを押すことが一番確実なのである。
当たり前といえば当たり前かもしれないが、実際に踏切でトラブルに遭遇したら……。冷静な対処が求められる。