8800万円で落札 幻のトヨタ2000GT、「2300GT試作車」とは BH東京オークション

公開 : 2019.09.11 05:50  更新 : 2020.12.08 18:00

トヨタ2000GTの排気量拡大版「MF12型」が、BH東京オークションに姿を見せました。60年代の日本を代表するスポーツカーの試作車、その落札額は?

1960年代のスーパーカー

text&photo: Kazuhide Ueno(上野和秀)

日本のクルマ好きのあいだで別格の日本車として認められているのがトヨタ2000GTだ。

トヨタとヤマハ発動機のジョイント・プロジェクトで開発され、スタイリング的にも、メカニズム的にも、世界的に見ても、トップレベルのGTカーに仕上がっていた。

SOHC 2300ccユニットを積むMF12型。外観は市販されたMF10型(2L DOHC)と変わらない。
SOHC 2300ccユニットを積むMF12型。外観は市販されたMF10型(2L DOHC)と変わらない。

1967年からトヨタ2000GTはMF10型として生産を開始。フロントノーズには、クラウン用のM型エンジンをもとに、ヤマハ発動機が開発したDOHCヘッドを備える3M型DOHC直列6気筒エンジンが搭載された。

最高出力は当時の日本車としては画期的といえる高性能で、ヨーロッパのスポーツカーにも劣らない150HPを6600rpmで発生。

シャシーはX型バックボーンフレームに前後ともダブルウィッシュボーン式サスペンション、4輪ディスクブレーキなど、当時の先進メカニズムを採用。最高速度は220km/hを誇った。

当時の販売価格は238万円で、現在の物価に置き換えると1878万円以上に相当する夢のスーパーカー。そのため誰にでも買える代物ではなく、合計337台が送り出されたにとどまり、当時からまず目にすることのできない憧れのクルマであり続けている。

試作に終わったトヨタ2300GT

こうして生産が始ったトヨタ2000GTだが、キャラクターとしてマニュアル・ギアボックスを駆使してパワーを使い切るヨーロッパ的な考えで開発されていた。そこで、アメリカ市場に向けて試作されたのがMF12型だった。

最大の特徴は、扱い易くするためとメンテナンス性を高めるためにエンジンをSOHC化し、トルクアップのために排気量を2300ccに拡大したこと。

エンジンは北米輸出仕様のクラウン用。2300ccで140HPを発揮する2M-B型。
エンジンは北米輸出仕様のクラウン用。2300ccで140HPを発揮する2M-B型。

エンジンは当時北米輸出仕様のクラウンが使用していた「2M型」がベース。各部にチューニングを行い、ソレックス製ツインチョーク・キャブレターを3基備えた「2M-B型」が搭載された。最高出力は140HPを5800rpmで発生する。

しかしトヨタ2000GTは製作コストが極めて高く、採算を度外視した価格設定だったこともあり終焉を迎えることになってしまう。MF12型も9台といわれる試作車を製作だけで表舞台から姿を消すことになる。

MF12型は市販されなかった「幻の2000GT」として、世界中の2000GTマニアの間でも特別な存在として認識されている。このMF12型の車体に付くバッジは「TOYOTA2000GT」のままだが、マニアの間では敬意を込めてトヨタ2300GTと呼ばれることがあるのだ。

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