ベストバランス8シリーズ 新型 BMW 840iグランクーペ sドライブへ試乗
公開 : 2019.10.02 09:50
BMWから6シリーズ・グランクーペに代わる、新しい4ドアクーペのグランドツアラーが8シリーズに登場しました。2ドアクーペよりも優れた実用性とバランスの良さが自慢です。ポルトガルで評価しました。
3番目のボディバリエーション
先代の6シリーズ・グランクーペと置き換わるかたちで、8シリーズ・グランクーペがBMWから登場する。アウディA7やメルセデス・ベンツCLS、ポルシェ・パナメーラなどが熱戦を繰り広げる、ラグジュアリー・グランドツアラーへのBMWによる最新の回答だ。
新しい8シリーズとしてはクーペとカブリオレに続く3番目のバリエーションで、8シリーズのランナップが出揃った。今回試乗したのは後輪駆動モデルだったが、4輪駆動の840d xドライブと、M850i xドライブも用意される。大ヒットの予感もあるM8グランクーペも近日中に登場予定となっている。
エクステリアデザインは、2ドアクーペと共通する雰囲気だが、ホイールベースは201mmも延長。A7やパナメーラとは異なり、CLSのように独立したラゲッジルームが備わる。ボディ後半の剛性確保の面でも有利だ。
ダッシュボードはクーペやカブリオレと共通。運転席の着座位置は低くめられ、高いルーフラインと相まってヘッドルームには余裕がある。リアシートへは、大きなリアタイヤのホイールアーチがあり、少し乗り降りにしくい。
座ってしまえばそれぞれのシートには十分な空間が確保され、ヘッドルームも広い。大人も座れるちゃんとした4シーターだ。ラゲッジスペースは440Lの大きさがあるが、5シリーズのサルーンより90Lも小さい。
BMWらしいダイナミクス性能
ターボ過給される3.0Lの直列6気筒ガソリンエンジンは、850iが搭載する4.4LのV8ターボほどパンチ力はないが、とても魅力的なユニット。低回転域から力強く柔軟で、中回転域での質感にも優れ、トップエンド目掛けて気持ちよく吹け上がる。高速道路でも洗練された質感は変わらず、堂々としながら邪魔にならない排気音が心地良い。
8速ATの振る舞いは、マニュアルモードでも素早くスムーズ。ブレーキにはエネルギーの回生機能が付き、ドライビングモードの「エコ・プロ」では、長時間アクセルペダルに力がかからない状態が続くと、エンジンがアイドリング状態に。燃費の向上が期待できる。サスペンションは、シンプルなスチールコイルだ。
ダイナミクス性能に関しては、BMWの面目躍如。BMWのインテグレイテッド・アクティブ・ステアリングには後輪操舵機能も備わり、大きなクルマながら、取り回しはずっと小さく感じられる。ステアリング操作に対する重さも自然で、切り込むにつれて適切な手応えを感じられるから、狭い道でも大きなBMWを操る不安感がない。
スポーツモードとスポーツプラスモードではダイレクト感が増すが、コンフォートモードでのダイレクト感と重み付けのバランスも素晴らしい。車重は1800kgもあるが、BMWらしい機敏な身のこなしが可能。優れた姿勢制御とグリップ力を持ち、走行時のバランスも秀逸だった。