いま改めて試乗 スバル・レガシィ・ツーリングワゴンGT-B(BG5) シンメトリカルの効能

公開 : 2019.11.03 05:50  更新 : 2021.10.11 13:38

2代目スバル・レガシィ・ツーリングワゴンGT-B(BG5)に試乗しました。たいへん美しく仕上がった個体は、スバルの持ち物です。いま改めて乗っても、特段古く感じられないとのこと。レガシィの歴史に欠かせません。

気持ち高まるボクサーサウンド

photo:Masakatsu Sato(佐藤正勝)

1997年式のスバルレガシィ・ツーリングワゴンGT-B。そのオドメーターには96000kmという走行距離が刻まれていが、各部に走行距離を裏付けるようなヤレは見当たらない。

ロイヤルブルー・マイカのボディには深い艶があり、ゴム類は総じて新品に換えられているように見える。

ボンネットは低く、しかしフロントガラスの面積は大きな印象の2代目レガシィ。ボンネット上のインタークーラー用のエアインテークも今日ではすっかりスバルの高性能モデルのアイデンティティになっている。シンプルなデザインは古さを感じさせない。
ボンネットは低く、しかしフロントガラスの面積は大きな印象の2代目レガシィ。ボンネット上のインタークーラー用のエアインテークも今日ではすっかりスバルの高性能モデルのアイデンティティになっている。シンプルなデザインは古さを感じさせない。

インテリアのコンディションもすばらしい。クルマの走行距離は運転席のサイドサポート部の擦れでわかることが多い。だが2トーンのモケットが使用されている若干バケット風にサイドサポートが立ち上がったシートに擦れた跡は見当たらない。

ATは4速だし、オーディオもスマホと連携することなどできるはずもない。とはいえポータブルナビやETC車載器を付けてしまえば、装備的には現代でも十分に通用しそうだ。

面白いのはシフトレバー横の格納式カード入れである。高速道路のチケットやクレジットカードを入れておくものだと思われるが、今どきの若者がカード入れを見つけたとしても、どうやって使うものなのか見当がつかないのではないだろうか。

コクピットに座って水平対向4気筒エンジンのフィーリングを確かめる。ノーマルマフラーなので3000rpmくらいまではおとなしめだが、それより上ではドコドコドコッという特徴的な「ボクサーサウンド」が響き渡る。

直列4気筒横置きのパワートレインよりはるかにキャラが立っていて、ワクワクさせられる。純正装着されているエアバッグ付きのMOMOを握りレガシィを発進させてみる。

新鮮な速さ、装備の懐かしさ

GT-BのMTモデルは280psユニットを搭載するが、今回の撮影車輛はATなので260psに留まる。とはいえ車重1460kgで260psと聞けばそれなりの速さを期待してしまう。

ところが、走りはじめは少し肩透かしを食らったような気になる。エンジンのレスポンスはなかなか鋭いし、ターボの高まりもしっかりと感じられるのだけれど、オートマの性格がその角をしっかりと削り落とし丸みを帯びたものにしてしまっているからである。

初代レガシィではセンターコンソールとメーターナセルが一つの枠の中に取り込まれていたが、2代目は各々が独立していくぶん個性が薄らいでいる。イタリアMOMO社製のステアリングはGT-BやGT以外に、250TやTSと言ったグレードにも標準装備されていた。
初代レガシィではセンターコンソールとメーターナセルが一つの枠の中に取り込まれていたが、2代目は各々が独立していくぶん個性が薄らいでいる。イタリアMOMO社製のステアリングはGT-BやGT以外に、250TやTSと言ったグレードにも標準装備されていた。

首都高に合流すると、その速さがしっかりと感じられるようになる。最高出力の発生回転数は6500rpm、最大トルクは5000rpmと高め。それでも現代車と比べれば車重が軽いので、気づくと結構なスピードが出ているのだ。

またグラスエリアが広く、ボンネットが低くて視界が良いこともスピード感のなさ=予期せぬ速さ、につながっているのだと思う。

速度計と回転計の間に縦一列で「PRND321」というシフトポジションが表示されているのが少し懐かしい。ABSブレーキは付いているが、トラクションコントロールは装備されていないので、例えば雪道で2速発進したいような時にはシフトポジション2は重宝するに違いない。スノーホールドスイッチなんていう装備もわざわざついている。

またシフトレバーにあるPOWERスイッチでシフトアップポイントを上げるというのも、現代ならば「スポーツモード」で一括で変化させてしまう部分なので、20世紀的と感じてしまう部分だ。

記事に関わった人々

  • 佐藤正勝

    Masakatsu Sato

    1964年生まれ。1984年東京工芸大学短期大学部写真技術科卒業後、八重洲PRセンターに入社。86年にF1/ルマン24時間を撮影後何かのスイッチが入ったらしく退社。フリーとなり国内外のレースを撮影。91年に撮影したDTMで、また何かのスイッチが入ったらしくどっぷりドイツ漬けに。現在は撮影のみならず、CS放送でのレース解説や雑誌への執筆も。
  • 吉田拓生

    Takuo Yoshida

    1972年生まれ。編集部員を経てモータリングライターとして独立。新旧あらゆるクルマの評価が得意。MGBとMGミジェット(レーシング)が趣味車。フィアット・パンダ4x4/メルセデスBクラスがアシグルマ。森に棲み、畑を耕し蜜蜂の世話をし、薪を割るカントリーライフの実践者でもあるため、農道のポルシェ(スバル・サンバー・トラック)を溺愛。

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