プラグインハイブリッドSUV対決 アウディQ5 vs ボルボXC60 勝因は高い完成度 前編
公開 : 2019.11.24 07:50
アウディからQ5のPHEVモデルが登場したことを受け、ボルボXC60とのプレミアムなプラグインハイブリッドSUV対決に連れ出しました。同じような顧客層に向けて生み出された2台ですが、その中味には明確な違いがあるようです。番外編ではカンパニーカーの節税対策をご紹介します。
最新のトレンド 事態は複雑
プラグインハイブリッドSUV以上に2019年を象徴するモデルなどあるだろうか?
例えいまのところはコンセプトレベルに留まっていたとしても、少なくともプラグインハイブリッドSUVが、このバラエティー豊かな自動車世界に拡がりつつある最新のトレンドであることに間違いはない。
そして、ターボブルーに替わって登場したアウディQ5 55 TFSIeはクラス最新の1台だ。
少ないCO2排出量が税金にうるさいカンパニーカーの運行責任者を魅了する一方、SUV市場全般を牽引するファミリーモデルを求めるドライバーには、スペース効率の高いボディスタイルが魅力となるに違いない。
だが、事態はそれほど単純ではなさそうだ。
確かにCO2排出量の少なさとスペース効率の高さが、三菱アウトランダーPHEVのようなモデルが大ヒットしている要因かも知れない。
だが、2025年までに20台以上が登場予定の電動アウディの1台として生み出されたこの新型Q5は、はるかに幅広い顧客層を満足させなければならないのだ。
もちろん、アウディブランドから5万4900ポンド(768万円)のプライスタグを掲げて登場したこのクルマにはそれなりの豪華さも期待されている。
だが、2.0Lの排気量を持つEA888型エンジンと電気モーターの組み合わせが発揮する367psのパワーと51.0kg-mのトルクも見過ごすわけにはいかない。
燃費とCO2排出量 大きな魅力
ホットハッチに匹敵するほどの5.3秒という0-100km/h加速を考えれば、このクルマにはそれなりのパフォーマンスが備わっていると考えるべきであり、それなりのハンドリング性能も備わっている。
そのプライスタグに相応しい経済性と優れた使い勝手、十分な高級さを感じさせるだけでなく、2030kgもの車重を持つこのSUVには、期待に違わぬダイナミクス性能とドライバーとの繋がりを感じさせるキャラクターも備わっているようだ。
このアウディ同様の目的のもと生み出されたのがボルボXC60 T8ツインエンジンであり、5万9670ポンド(835万円)のプライスタグを掲げたRデザイン・プロであれば、この新型プラグインSUVが積むバッテリー容量はアウディよりも小さいものの(11.6kWhに対して14.1kWhだ)、WLTP基準でアウディをやや凌ぐEV走行距離を確保している(アウディの42kmに対して47kmというものだ)。
そしてアウディと同じく、そのカタログ燃費とCO2排出量は大きな魅力となる違いない。
だが、アウディの電気モーターが7速オートマティックギアボックス内部に組み込まれ、専用クラッチを通じて、ガソリンエンジンととともにクワトロ四輪駆動システムへとトルクを供給する一方で、ボルボのガソリンエンジンは電気モーターとは完全に独立して制御される。