ライバルなき孤高のミドシップ トヨタMR2(SW20) 車格、質感ともに高まった2代目
公開 : 2019.11.16 05:50 更新 : 2021.10.11 14:52
AW11こと初代MR2のデビューが話題を集めた理由は、国産の量産スポーツカーとして初めてミドシップ・レイアウトを採用していたからでした。自動車の歴史におけるMR2の存在意義を、振り返りました。
ミドシップは一流の証
その巨大さゆえ保守的なアプローチが多いと思われているトヨタだが、80年代から90年代は景気に後押しされ、いくつかの意欲的なスポーツモデルを送り出している。
ハイソカーとして一世を風靡したソアラやガルウイングドアのセラ、そして1984年から1989年、1989年から1999年という2世代に渡って作られたMR2等々である。
AW11こと初代MR2のデビューが話題を集めた理由は、国産の量産スポーツカーとして初めてミドシップ・レイアウトを採用していたからだった。
重量物を車体の中央に集め慣性モーメントを減らすミドシップは、レーシングカーの世界では瞬く間に普及したが、市販車への採用は積極的には行われなかった。
とはいえスーパーカー・ブームを経験したクルマ好きにとってミドシップの人気は絶大だった。
何しろそれは、ランボルギーニ・カウンタックやフェラーリBB、ランチア・ストラトスといった一流のスーパーカーが採用していたレイアウトだったからである。
FF車用の横置きパワートレインをドライバーの背後に移植した2シーターのミドシップ車はヨーロッパの比較的小規模なメーカーによって度々リリースされてきた。
中でも初代MR2に直接的なヒントを与えた1台はフィアットのX1/9であると言われている。
丸みを帯び、大人になった2代目
1989年10月にデビューしたSW20こと2代目トヨタMR2の特徴は、初代に比べ車格がアップしていた点だった。
初代MR2は1.5-1.6Lの4気筒エンジンをはじめとするコンポーネンツをカローラ系から流用していたが、2代目MR2はトヨタ・コロナやトヨタ・セリカをベースとし、2Lエンジンを装備していた。
またハイパワー版のエンジンがスーパーチャージャーによる過給だった初代に対し、2代目がターボを採用していた点も目新しさと言えた。
2代目のスタイリングは直線的だった初代から一転して丸みを帯び、若干落ち着いた印象を与えるとともに、ひと回りほどのサイズアップも果たしていたのである。
2代目MR2はトヨタのライフサイクルとしては長めといえる10年もの間生産されており、その中で4回のマイナーチェンジが行われている。ファンはそれをI型からV型という5つに分類して呼んでいる。
ボディは標準のクローズドルーフの他に、Tバールーフも用意されており、ルーフ部分に固定された2枚のガラスパネルを外し、それをシートの背後、バルクヘッドの間に収納することでオープンエアドライブを堪能することができたのである。