ミニバンのカスタム アメリカなぜ少ない? 日米で異なる事情 数千台の出展車わずか1台
公開 : 2019.11.25 12:02 更新 : 2019.11.25 12:05
日本のカスタムカーショーを見ると、ミニバンのカスタムはとても多いです。いっぽうアメリカでは、数千台の出展車のうちわずか1台というほど少ないです。調べてみると日米まったく異なる事情がありました。
もくじ
ーミニバン、アメリカ生まれ フルに対するミニ
ー米でミニバンのカスタムが少ない理由
ーそもそも米でミニバンの車種が減っている
ー多くの人々の関心を集めるか=費用対効果
ー2015:トヨタ・シエナDUBエディション
ー2015:トヨタ・シエナ・リミックス
ー2015:SEMA/Toyota トヨタ・シエナRチューンド・コンセプト
ー2016:SEMA トヨタ・エクストリーム・シエナ
ミニバン、アメリカ生まれ フルに対するミニ
ミニバンというカテゴリーのクルマが生まれたのは1983年のアメリカである。
クライスラー社のダッジ・キャラバンと、その兄弟車にあたるプリムス・ボイジャーの2車種が元祖ミニバンである。
生みの親は今年7月に94歳で亡くなった、当時クライスラー社の会長であったリー・アイアコッカだ。
ほぼ同じ時期に欧州では似たコンセプトを持つ「モノ・スペース」のルノー・エスパスが発売されていたが、「ミニバン」として世に送り出したのはクライスラー社が世界初。
その後、クライスラー社のミニバンはアメリカで大ヒットとなり、クライスラーの経営危機を救ったのは有名な話である。
GMやフォードも追随し、とくに1985年に発売されたシボレー・アストロ(GMCサファリ)は日本へもノーマルモデルをヤナセが正規輸入していた時期があった。
また、スタークラフトなどのコンバージョンモデルも日本で大人気になった。ジープチェロキーと並ぶ、日本で最も売れたアメリカ車だったのだ。
ところで、MINI-VANの「ミニ」とはどういう意味なのか? 簡単に言うと当時のダッジバン、シェビーバン、フォードエコノラインなどの「フルサイズバン」に対する「ミニバン」という意味になる。
全幅2000mm+全長5700mmのボディサイズに対して、ミニは全幅1750-1800+全長4600−4700mmと小ぶりなサイズに収まっている。
ただしこれも、代を経るごとに大型化し、最新のクライスラー・パシフィカは全幅2000mm+全長5000mmを超えており、かつてのフルサイズバンに迫るボディサイズとなっている。
米でミニバンのカスタムが少ない理由
一方、日本における乗用車ライクなミニバンの始祖といえば、1988年に米国で発売されたマツダMPV(日本では1990年1月発売)、1990年5月発売のトヨタ・エスティマが相当する。
しかし、日本ではそれ以前に商用車のワンボックスをファミリーカーとして使ったり、バニングとして楽しんだりする文化があった。
また、現代のミニバンを代表する車種である、アルファードやノア・ヴォクシー、ヴェルファイヤ、セレナ、エルグランドなどはすべて、ワンボックスから発展した車種であるから日本におけるミニバンの元祖はワンボックスと言っても良いのかもしれない(つい先日2019年10月に、エスティマの生産終了が発表されたばかり)。
現代の日本ではミニバンと言えばファミリーカー、そして同時にカスタムのベース車両としても大変人気がある。
しかし、アメリカではミニバンのカスタムやチューニングを楽しむ層は日本ほど多くはない。
筆者が毎年訪れている米国SEMAショウにおいてもその傾向は顕著だ。屋内/屋外合わせて2000台とも3000台ともいわれる出展車両の中で、ミニバンのカスタムモデルは1〜2台?
アメリカではカスタムの世界でミニバンはあまり人気がないようだ。理由の1つはミニバンは別名「サッカーマム」と呼ばれるように、ママと子どものクルマなのである。多人数が乗れるミニバンは、サッカークラブへの子どもの送り迎えに最適だ。近所の子どもも一緒に乗せていくことができる。
便利なクルマではあるが「(カスタムに熱中するような)クルマ好きが乗るクルマではない」という認識があるのかもしれない。
日本はカスタムの世界において独自のミニバンカスタム文化を花開かせていったが、アメリカではミニバン自体の立ち位置が少し異なっているのだろう。