【最強4WDホットハッチは】BMW M135i vs ミニ・クーパー・クラブマンJCW vs メルセデスAMG A35 前編
公開 : 2019.12.07 10:30 更新 : 2021.03.05 21:34
FFへと駆動方式を変えて登場したBMW 1シリーズのホットモデル、M135iを同門のミニ・クーパー・クラブマンJCWとメルセデスAMG A35との比較試乗に連れ出しました。その結果はリア駆動を捨て去ったことに寂しさを感じるひとびとを勇気づけるものとなったようです。
フィッシュサンドとホットハッチ
フィッシュサンドを思い起こしてみれば、ホットハッチがいかにお買い得なモデルかが理解できるだろう。
どちらも毎日の生活には欠かせない存在であり、このふたつのことをありきたりな素材をベースに、人間の想像力が創り出すことに成功した勝利だというものまでいる。
そして、どちらもその控え目でシンプルなやり方を捨て、単に刺激を求めるようなマネをすればすぐに台無しになってしまうのだ。
スライスしたパンにどこにでもあるフィッシュフライ(スペース効率を最大化するため横向きに配置すべきだ)とマーガリン、そしてお好みの付け合わせを合わせればフィッシュサンドとしてこれ以上のものは望めないだろう。だからこそ、つねに妻にはナンドのエクストラホットソースが欠かせないと言っている。
同じく、真に素晴らしい4気筒エンジンと偉大なマニュアルギアボックス、フロント駆動に、相応しいタイヤとサスペンション、それにブレーキとディフェレンシャルの組み合わせことが、ホットハッチとして考え得る最高のレシピとなる。
タラのフライとパンの間にキュウリのピクルス(薄くスライスしたヤツだ。わたしはマヌケではない)をはさんだフィッシュフライに魅了されたひとなら、迂闊にもパンをビショビショにしてしまった時の、何とも言えない気持ちが理解できるだろう。
あれ以来、特にタルタルソースが掛かっているような場合、チャパタパンを使ったフィッシュサンドには注意しなければならないことを学んでいる。つまり、もし最高のフィッシュサンドが食べたければ、レシピだけに夢中になり過ぎてはいけないということだ。
先代以上の仕上がり
過去2世代にわたって、BMWでは1シリーズのハッチバックモデルのレシピに夢中になり過ぎていたように見える。
もちろん、20世紀の終わりにルノー・スポールがミッドシップにV6エンジンを積んでリアを駆動するクリオを登場させたときほど自分を見失っていたわけではない。
それでも直列6気筒エンジンを縦に積んでリアを駆動するというだけでも、彼らが夢中になっていたというには十分であり、市場はゴルフクラスのハッチバックに対するものとしては異例と言えるハンドリングやドライバーとの繋がりをこのクルマに期待することとなった。
だからこそ、リア駆動のM140iが失われたことで嘆き悲しんでいるかも知れないBMWの熱狂的ファンに、そんな必要はないと教えてあげたいのだ。
M140iを所有したり、そのステアリングを握ったことのあるなかで、このモデルが失われたことを本気で悲しむひとなどほとんどいないだろう。
M140iが英国版AUTOCARの評価で並み居るライバルたちを打ち負かすことが出来なかったのにはいくつかの理由があり、活気のないハンドリングや鈍重なステアリング、落ち着きのないボディコントロールといったものがその原因だった。
一方、やや少ないパワーとシリンダー数、そしてそのネーミングからM140iの後継というよりも、モデルチェンジだと見なされている新型M135i xドライブのほうが、こうしたモデルで重視される多くの点で先代よりも優れたクルマに仕上がっている。