【3つの原因】NASCARやインディ なぜアメリカでモータースポーツが地盤沈下しているのか
公開 : 2020.01.01 11:50 更新 : 2021.10.09 23:55
日本におけるNASCARの放送がなくなることになりました。また、アメリカでもNASCARやインディなどのモータースポーツは逆風にさらされています。考えられる理由は3つ。桃田健史がまとめました。
日テレ・G+、NASCAR16年間に幕
日本テレビのCS放送「G+(ジータス)」は2019年12月上旬、2020年NASCARの放送予定がないことを明らかにした。
2004年から続いてきた、G+NASCAR放送が終わった。2020年から日本テレビに変わり、どの放送局が日本でNASCAR放映をするのか、現時点では未定だ。
筆者はこの16年間、同番組の解説者を務めてきた。また、それ以前には関西系のテレビ局が日本でのNASCAR放送権を持っており、同番組でも解説をしてきた。
日本ではマイナーなアメリカンモータースポーツを、日本のレースファンだけではなく、エンターテインメントとしてより多くの視聴者の方に楽しんで頂こうと、自分なりの工夫をしながら放送に参加してきたつもりだ。
しかし、現実は厳しい。NASCARが日本でブームは一度もなく、有料放送として収益性の高いコンテンツとなるまでには育たなかった。
NASCARと共に、アメリカを代表するインディカーレースについても同様だ。
日本テレビが放送権を持ち、「ツインリンクもてぎ」で遠征レースを中継し、また毎週レギュラー番組でアメリカンレース情報を流したが、結局大きなムーブメントは起こらなかった。
アメリカモータースポーツは邪道!?
日本でアメリカンモータースポーツがウケないのは、日本とアメリカの国民性の違いが大きい。日本人とって、エンタメ性が強過ぎるように感じるからだ。
そもそも日本人は、F1やルマン24時間など、ヨーロピアンレースに対する憧れが強く「ヨーロッパが王道」が一般常識になっている。
フォーミュラカーレースにおいては、F1が頂点であり、インディカーは邪道、または二流というイメージが日本人の中から抜け切れていない。
実際、F1レーサーとしてピーク期を過ぎたレーサーがインディに転向するケースが多い。
それでも、インディカーの場合、車体の製造メーカーは長年に渡りヨーロピアン企業が主流であるなど、技術面では欧州色があり、日本人としてもF1つながりとしてインディカーを理解しやすい環境にある。
一方、NASCARとなると、日本人の理解の枠を超えてしまうのかもしれない。
ショートオーバルコースでは周回数が数百回にも及ぶこと。近年はレーサーの平均年齢は若くはなってきたが、それでもトップレーサーは30代後半から40代にかけてが主流なこと。車体の性能はGTカーと比べると高くないこと。
また、荒々しいピット作業の風景など、日本人にとっては異質な存在に見えるはずだ。