【試乗 トヨタの商用車】新型プロボックス/サクシード 待望のハイブリッド

公開 : 2019.12.30 20:50  更新 : 2021.10.09 22:11

トヨタ・プロボックス/サクシードに、待望のHV車が登場。トヨタ・セーフティ・センスが標準で備わっているほか、先進の安全装備も充実しています。しかも、お買い得。

プロ・サク待望 ハイブリッド登場

text:Takuo Yoshida(吉田拓生)
photo:Hidenori Hanamura(花村秀典)

クルマを趣味的に捉えている人にはあまり縁のない車種かも知れないが、仕事で使用しているという人はけっこういるはず。プロボックスとその兄弟車であるサクシード。

慣れ親しんだ人は“プロ・サク”なんて呼んでひとくくりにしている、いわゆる商用車、ライトバンである。2002年登場の初代では、プロボックスとサクシードに多少の形状的な違いがあったが、現在はほぼ同一になっており、販売店などの関係によって車名が使い分けられている。

トヨタ・サクシードTX(ハイブリッド)
トヨタ・サクシードTX(ハイブリッド)

初代は商用車らしく2002年から2014年まで実に12年間も作り続けられ、一方初代のビッグ・マイナーチェンジ的な成り立ちを持った現行は2014年に登場し、まだモデルライフの半ばと言ったところだろう。

そんなプロ・サクをなぜこのタイミングで紹介するのかと言えば、今年初めに待望のハイブリッド・モデルが登場したからである。

ちなみにプラットフォームはヴィッツ用に手を加えたもので、駆動方式はFFだが4WDモデルも存在する。以前は1.3Lガソリン+MTというライトな仕様のモデルもあったが、現在は1.5Lのガソリン・エンジン+CVTトランスミッションが標準となっている。

今回追加になったハイブリッド・モデルはトヨタ・アクアのパワートレイン(THSII)を組み合わせたもの。リアのシート下にバッテリーとアクアのものより大型のガソリンタンクが配置されることもあり、ハイブリッドは2WDのみとなる。

社用車 性能以上に“価格”が重要

大トヨタが作る商用車であり、その省燃費性能がこのクルマを営業車としている会社の収支のみならず日本の経済全般に影響を与えるような1台でありながら、今までハイブリッドがなかったことは意外といえる。

燃費のデータはJC08で比べると、プロ・サク・ハイブリッドの燃費は27.8km/Lで、1.5Lガソリン・モデルの19.6km/Lと比べればその差は歴然としている。WLTCモードでは22.6km/Lを記録する。

トヨタ・サクシードTX(ハイブリッド)
トヨタ・サクシードTX(ハイブリッド)

営業車と言えばエンジン掛けっぱなしで昼寝みたいなシチュエーションも当たり前なので、両者の実燃費にはさらなる開きが生まれる可能性もあるわけだ。

それでもプロ・サク・ハイブリッド登場が遅れてきた背景には、コスト的な難しさが大いに関係している。すでにこのクルマを社用車として使用している会社の身になってみれば、どんなに省燃費性能が優れていても、新車価格が高かったらなかなか省燃費の恩恵を受けることができないのだから。

ちなみに最も廉価なモデルは、1.3Lガソリン、2WDで139万9200円。

1.5Lガソリン、2WDは、157万8500円だが、そのハイブリッド・モデルは+27万円ほどに抑えられている。

シエンタを例にとればハイブリッドとノン・ハイブリッドの価格差は36万円ほどなので、軽く皮算用しただけでも「プロ・サクのハイブリッドはお買い得!」という見方ができるわけだ。

記事に関わった人々

  • 吉田拓生

    Takuo Yoshida

    1972年生まれ。編集部員を経てモータリングライターとして独立。新旧あらゆるクルマの評価が得意。MGBとMGミジェット(レーシング)が趣味車。フィアット・パンダ4x4/メルセデスBクラスがアシグルマ。森に棲み、畑を耕し蜜蜂の世話をし、薪を割るカントリーライフの実践者でもあるため、農道のポルシェ(スバル・サンバー・トラック)を溺愛。

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