【2019年 オークション総括】いま注目したい、狙い目の5台

公開 : 2020.01.04 11:50  更新 : 2020.12.08 17:56

昨年のオークション総括、第3弾。素晴らしいクルマなのに、評価されないモデル。本質を正しく理解されず、魅力的なプライスに。いま注目したいお値頃車をご紹介。

ランボルギーニ・エスパーダ

text:Kazuhide Ueno(上野和秀)
photo:BONHAMS、RM Sotheby’s

ミウラが主力モデルだった1967年にランボルギーニから送り出された2+2 GTがエスパーダだった。

ありきたりの2+2モデルではなく、シューティング・ブレークともいえる先進的なデザインは、当時ベルトーネに在席していた鬼才マルチェロ・ガンディーニの手によるもの。独創的なスタイリングやディテールは今見ても魅力的だ。

1974年ランボルギーニ・エスパーダ・シリーズ III:1017万円(ボナムス・グッドウッド・フェスティバル・オブ・スピード・オークション)
1974年ランボルギーニ・エスパーダ・シリーズ III:1017万円(ボナムス・グッドウッド・フェスティバル・オブ・スピード・オークション

ノーズにはミウラと同じ12気筒ユニットが搭載され、豪奢なインテリアと相まって本当のGTの世界を楽しめる。

姉妹車のミウラは今や「億車」になってしまった。エスパーダはというと、クルマ好きの間で評価はされるのだが、本命にはならず買うまでに至らない存在として現在に至る。

そのため実勢価格は低くオークションでも1000万円をちょっと超えた額で、ミウラの10分の1といえる相場で取引されている。

ここで注意したいのはランボの12気筒モデルであることだ。エンジンの整備はミウラと変わらぬ費用が掛かるので、所有するには覚悟を。

ポルシェ912

ご存知ポルシェ911のディフュージョン版として送り出された912。

911のボディ・シャシーに356用を発展させた4気筒エンジンを積み、356の価格帯を引き継ぐモデルとして送り出された。

1966年ポルシェ912 SWB:525万円(ボナムス・ザウテ・オークション)
1966年ポルシェ912 SWB:525万円(ボナムス・ザウテ・オークション)

しかし趣味のクルマだけにハイパワーのトップグレードとなる911 Sが人気を集め、ローパワーで存在感の薄い912は本命になれなかった悲運のモデルといえる。しかし、軽量な4気筒ユニットのおかげで重量バランスが良く、ハンドリングは優れていた。

近年のフェラーリに端を発するコレクターズカー・バブル前は300〜500万円で買えたが、ピークの頃は1000万円を超えるところまで上昇してしまった。

これは本当の評価ではない事からバブルが弾けるとみるみる下がり、2019年の結果を見ると500万円〜1000万円という相場で落札されている。

落札額に幅があるが、これは最初期型が評価されていること、誕生から50年以上経過しているためにコンディションによって変わってくることによる。致し方ないところだ。

最近は356が高値で落ち着いてしまい、Bのクーペでも1000万円をちょっと切る額だけに、356の味わいを残す912で遊ぶのが賢明だ。

マセラティ・インディ

バブルの真っ最中に高い評価を得たマセラティのロードカーは、3500GTスパイダーギブリ・スパイダーだけ。他のモデルはちょっと上がるだけに留まった。

バブルが終息するとミストラルとギブリは評価されているが、その他のモデルとなると今ひとつの落札額が続いている。その中で注目したい狙い目の存在が70年代らしさを満載したインディだ。

1974年マセラティ・インディ4.9:774万円(RMサザビーズ・エッセン・オークション)
1974年マセラティ・インディ4.9:774万円(RMサザビーズ・エッセン・オークション)

ギブリの4シーター・モデルとして1969年に発表されたもので、来る70年代のトレンドといえるリトラクタブル・ヘッドランプと直線基調のウェッジのスタイリングが特徴。

ひと昔前は700〜800万円で取引され、バブルのピーク時でもちょっと上がる程度だった。4シーター・スーパースポーツの常で、インディも不人気モデルと評される1台である。

2019年の結果を見ると内容以下といえる550〜800万円で落札され、すっかり前の値段に戻ってきた。往年のゴージャスなグランドツアラーを手にしたい方には、手間はかかるが選択肢の1つとなろう。

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