【ホンダあらたな言葉】「自由運転」、自動運転と何がどう違うのか ホンダCASE戦略の中核に?

公開 : 2020.01.08 16:50  更新 : 2021.10.09 23:55

「自由運転」。ホンダが、IT・家電の世界最大級見本市CESで世界初公開した新しいコンセプトです。自動運転とは何がどう違うのか? 桃田健史が現地からお届けします。ホンダCASE戦略の中核になるのか!?

「自由」が持つ意味とは?

text:Kenji Momota(桃田健史)

自由運転、という言葉。

自動車業界関係者にとっても、初耳だ。

自由運転コンセプト
自由運転コンセプト

ホンダが、IT・家電の世界最大級見本市CES(2020年1月7日~10日:米ネバダ州ラスベガス)で世界初公開した新しいコンセプトである。

自由運転は、フィット、CR-V、アコード、レジェントなど、既存モデルにすぐに採用される新技術というわけではない。

公開された画像も、高原のような場所を近未来型の白いオープンカーが走り、女性が風景を写真に収めている、といった抽象的なモノ。

パッ見は自動運転なのだが、これをあえて自由運転と、ホンダは呼ぶ。

プレスリリースには、
・自動運転を超えて、クルマが黒子になって運転をサポート
・ドライバーが運転中にふと興味を抱いた場所に意のままに立ち寄ることを叶える
・自動運転技術とさまざまなセンサーが人の意思を読み取る
・クルマがドライバーの思い通りになる足のような身体拡張
という、これまた抽象的な表現が並ぶ。

こうした説明を受けても、自由運転を理解できる人はけっして多くないだろう。

では、どうしてホンダはこのタイミングで自由運転なるものを提唱するのか?

ホンダ自身の迷い

ホンダの技術開発を行う本田技術研究所の関係者らと筆者(桃田健史)はこれまで、自動運転を含むホンダの今後の事業戦略に関して様々な意見交換をしてきた。

そのなかで「ホンダらしい自動運転のあり方を模索している」という言葉が何度も出た。換言すると、ホンダ社内で自動運転の将来構想に対する迷いがある。

ホンダといえば、走りの良さ。それが、他社との最大の差別化要因だ。エンジンによる走りの良さを象徴するのが、F1だ。走りの良さでは、軽自動車の大ヒット作となったN-BOXがある。

こうした、誰もが、見て感じて、乗って感じることができる走りの良さを、自動運転とどのように結びつけて考えるべきか?

その難題に対してホンダが捻り出したのは、走りの良さ=ドライバーの意のまま=自由、という解釈だ。

自動運転は2010年代に積み上げてきた基礎技術開発の時期を得て、2020年代は社会実装期に入る。

ホンダとしては、このタイミングで、ホンダらしい自動運転の定義付けが必要だったといえる。それが、自由運転だ。

ただし、自由運転を裏付けるためには、ホンダがこれから乗り越えなければならない課題は多い。

記事に関わった人々

  • 桃田健史

    Kenji Momota

    過去40数年間の飛行機移動距離はざっと世界150周。量産車の企画/開発/実験/マーケティングなど様々な実務を経験。モータースポーツ領域でもアメリカを拠点に長年活動。昔は愛車のフルサイズピックトラックで1日1600㎞移動は当たり前だったが最近は長距離だと腰が痛く……。将来は80年代に取得した双発飛行機免許使って「空飛ぶクルマ」で移動?

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