【ジープのピックアップ】ジープ・グラディエーター・オーバーランドに試乗
公開 : 2020.01.12 09:50 更新 : 2022.08.08 07:52
ジープ・ラングラーのロングホイールベース版をベースとした、ピックアップ・トラックが登場。屈強な実用性を備え、欧州に上陸予定です。強い個性を放つ1台を、英国編集部がアメリカで確かめました。
全長5.5m超えの大型ボディ
ジープとピックアップという組合せは、とても合理的に思える。だが意外にも、ジープ・チェロキーをベースにしたジープ・コマンチが1992年に消滅して以来、存在していなかったことに驚く。
2019年、満を持してジープ・グラディエーターが登場した。見たまま、JL型へと進化を遂げたラングラーをベースにしたピックアップ・トラックで、2020年には欧州での発売が始まる。
大きな荷台と2列シートのキャビンを備えるグラディエーターだから、ボディはかなり長い。全長は5540mmに及び、5ドアのラングラーより658mmも長い。フォード・レンジャー・ラプターと比べても、142mm長い。
ホイールベースは長大な3487mmもある。だがアメリカ市場では、グラディエーターの大きさを持ってしても、中型トラックに位置するという。
メカニカルの部分では、ジープ・ラングラーとほぼ共通している。前後ともにサスペンションはリジットアクスル式。もちろんシャシーは独立した構造だ。車体の下を覗き込むと、オフロード走行を前提としたプロテクション・プレートがあちこちに取り付けられていることがわかる。
グラディエーターの開発に用いたテストコースには、カリフォルニア州にある非常に過酷なルビコン・トレイルも含まれていたという。オフロードの走破性は間違いなさそうだ。
沼地程度なら後輪駆動モードで充分
現在アメリカで提供されているグラディエーターのエンジンは1種類のみ。3.6Lの自然吸気V6エンジンで、最高出力は289ps、最大トルクは35.8kg-mを発生する。
トランスミッションは6速MTが標準装備。多くのドライバーは、2000ドル(21万円)のオプション費用を支払って、8速ATを選択することになるだろう。今回の試乗車も8速ATだった。
今回の試乗では、オフロードの走破性も確かめたいと考えていた。だが試乗コースはミシガン州の郊外。PR映像のように、グラディエーターのアプローチ・アングルや豊かなサスペンションストロークを確かめることはできなかった。
せっかくなのでオフロードを探し、見つけた最も過酷な状況が、ぬかるんだ沼地。派手に泥を跳ね上げながら見事に走破したものの、デフォルトの後輪駆動モードのままで済んでしまった。
トランスミッションには4輪駆動モードと、本気のオフロードに挑むためのローレンジ・モードが備わっている。グラディエーターのホイールベースは長いから、短いラングラーと同等の悪路性能を備えていないはず。だが駆動系統の設定は、本物のオフロードを前提としてある。
舗装路では、グラディエーターの個性はさらに強い。やや旧式のV6エンジンは低回転からの太いトルクを持ち合わせないものの、ATが上手に中回転域を保ってくれる。加速は驚くほど鋭いが、エンジンは一生懸命働くほどに大きなノイズも響かせる。