【見るべきはPHEVの長所】ベントレー・ベンテイガ・ハイブリッドに試乗

公開 : 2020.01.17 09:50

英国クルー生まれとして不満のないラグジュアリーさを持つ、ガソリンエンジン・ベースのベンテイガ・ハイブリッド。アメリカでの試乗ではさほど良い評価は得られませんでしたが、視点を変えて、英国の道で走りを確かめました。

システム総合の最高出力は449ps

text:Jim Holder(ジム・ホルダー)
translation:Kenji Nakajima(中嶋健治)

 
ベントレー製の大型SUV、ベンテイガへ2019年末に追加されたハイブリッド。既に顧客へ渡るベンテイガのかなりの割合を占めているという。

2023年末までに、ベントレーの全てのモデルへハイブリッドをラインナップするという計画に同調するかのようだ。世界が変化していることを表している。

ベントレー・ベンテイガ・ハイブリッド
ベントレー・ベンテイガ・ハイブリッド

ベンテイガ・ハイブリッドに搭載されるのは、3.0L V6のガソリンターボ・エンジン。ベントレーとしては最小ユニットとなり、バッテリーで駆動する電気モーターが組み合わされる、プラグイン・ハイブリッドだ。

エンジンの最高出力は339psで、電気モーターの最高出力は127ps。それぞれ発揮する回転数が異なるため、システム総合での最高出力は449psとなる。車重はベントレー・ミュルザンヌとほぼ同じ、2626kg。

ベンテイガの今はなきディーゼルエンジン版は、AUTOCARのロードテストで満点という高評価を得ている。W12気筒エンジンモデルも、9つ星と、90点の評価だった。ハイブリッド版となっても、パワートレイン意外は高評価のベンテイガと変わらない。

果たして、ハイブリッド版ベンテイガのすべてをボジティブに捉えることはできるのだろうか。2019年に英国編集部のアンドリュー・フランケルがアメリカで試乗した際、パワートレインの仕上がりには落胆した様子だった。

「エンジンはクルマを動かすための装置に留まっています。ベントレーが培ってきたブランドの価値にふさわしいパワープランドだと、手放しに評価することは難しいですね」

未来の上級な自動車による移動体験

今回も同様な感想を抱くだけでは芸がない。英国では初試乗となるが、前回の試乗記から流用したい文面がある。

「ベンテイガ・ハイブリッドは相応しい走りではなく、ベントレーというブランドやイメージを所有したいと思う人が求めるクルマではないでしょうか。ハイブリッドによる経済的なメリットだけでなく、裕福でありながら環境も配慮している、という周囲からの見られ方も得られます」

ベントレー・ベンテイガ・ハイブリッド
ベントレー・ベンテイガ・ハイブリッド

悪くいえば、そういうことかもしれない。

ベントレー・ハイブリッドでEVモードを選べば、最高のラグジュアリーSUVが出現する。魅了されるほどの静寂の中で、瞬時に湧き出る力強いトルク。特に適正さが求められる都市部では。

燃料を直接燃やさずに走っていると実感すると、心がほのかに温められる気持ちになる。これが未来の上級な、より良い自動車による移動体験だと結論付けたくなるのに、長い時間は必要ない。

その反面、電気エネルギーだけで走行できる航続距離は、メーカー値で39km/hに留まっている。今回の試乗では、実際には24kmから32kmくらいが現実的といえそうだ。技術的な限界を押し広げているわけでもない。

だが、電動化技術のインパクトは大きい。ほぼ満載状態でロンドンからウェールズまで400kmほどの距離を走行したが、燃費は10.9km/Lと車格にしては良好な数字だった。ほぼ全区間を高速道路で走行したため、ハイブリッドには悪条件だったにも関わらず。

以前、レンジローバーのディーゼルエンジン・モデルで同じ区間を走行し、これより若干良い燃費を出したことはあるけれど。

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