【意外?】もとは軍事/航空技術 クルマの世界に影響を与えた発明 9選

公開 : 2020.02.15 05:50

今日、クルマに使われている技術は、もともと軍事や航空向けに開発されたものが数多くあります。クルマの世界に大きな影響を与えた、その発明の主なものを、AUTOCARがピックアップして紹介します。

クルマの世界にインパクトを与えた航空技術

text:Tom Evans(トム・エヴァンス)

今日、クルマにつかわれている技術は、もとは軍事や航空向けに発明されたものが数多くある。

わたし達が普段何気なく使っているものも、実はかなり異なる用途や目的を持っていた。

アメリカのロッキード社製SR-71「ブラックバード」偵察機
アメリカのロッキード社製SR-71「ブラックバード」偵察機

アンチロック・ブレーキ・システム(ABS)

EUおよび米国で生産されるクルマへの装着が義務化されている、アンチロック・ブレーキ・システムは、フランス航空界のパイオニア、ガブリエル・ヴォアザン(1880-1973、写真左)によって発明された。

航空機はしばしば、タイヤを破裂させることなく、前線近くの短い滑走路に着陸、停止しなければならなかった。

フランス航空界のパイオニア、ガブリエル・ヴォアザン(1880-1973)
フランス航空界のパイオニア、ガブリエル・ヴォアザン(1880-1973)

そこで、ヴォアザンは、第一次世界大戦の終わり頃に生産した軍用機(写真右)に、初歩的な機械形式のABS技術を採用した。

クルマに使われているアンチロック・ブレーキ・システム(ABS)

ABSは、今日のロードカーの最も重要な安全機能の1つだろう。

ほとんどの路面、ほとんどの条件で、各車輪のブレーキ圧力を変化させてロックアップを防ぎ、クルマをより速く停止させることができる。

この技術は、1966年に英国の4輪駆動スポーツカーであるジェンセンFFのロードカーに最初に採用された。

1970年には、電子制御式ABSが、さまざまなクライスラーモデルに採用されたが、メルセデス・ベンツは、1978年にさらに洗練された4輪マルチ・チャンネル・システムをSクラスW116に導入した。

ヘッドアップディスプレイ

ヘッドアップディスプレイ(HUD)の歴史は第二次世界大戦以前にさかのぼる。

爆撃の正確性を高めるため、航空機の照準器に十字線を追加したのが始まりだった。

ヘッドアップディスプレイ(HUD)
ヘッドアップディスプレイ(HUD)

戦時中、イギリス空軍は、レーダースクリーンをモスキートの夜間戦闘機のフロントガラスに反射させることに成功した。

この技術は戦後、徐々に高度になり、さまざまな脅威の兆候を戦闘機のディスプレイに表示できるようになった。

現在では民間航空機でも使われている。

クルマに採用されているヘッドアップディスプレイ

HUDは、オールズモビル・カトラス・シュープリーム・コンバーチブル・インディ500ペースカーのプロダクションカーに最初に搭載され、1988年に50台がカスタマーに提供された。

1990年にデジタルディスプレイに速度が表示される機能がオプションとして、オールズモビル・カトラス・シュープリーム・サルーンに採用され、より定着したものとなった。

GMは、同社が1985年に購入したヒューズ・エアクラフトの名残であるヒューズ・エレクトロニクスの子会社からこの技術を入手した。

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