【ID.3 Rへ向けた第一歩】VWゴルフeR1 エレクトリック・プロト 500ps+4輪駆動

公開 : 2020.02.07 10:20

記録破りのヒルクライム・マシン、ID. Rのパワートレインを、ゴルフTCRに搭載したプロトタイプが登場。VWが持つEV技術のショーケースでもあり、今後の高性能なID.3 Rへ向けた第一歩でもあるといえそうです。

ID. Rヒルクライム・マシンと同じ駆動系

text:James Attwood(ジェームス・アトウッド)
translation:Kenji Nakajima(中嶋健治)

 
フォルクスワーゲン・ゴルフeR1が、オーストリアで開かれたGPアイス・レースのイベントで公にお披露目となった。EVとしての技術と性能の高さを示すだけでなく、将来的な可能性も垣間見せてくれるモデルだ。

ボディの見た目は、ゴルフTCRツーリングカーに軽く手が加えられたマシンのよう。だがその内側には、フォルクスワーゲンが新記録を樹立させた、EVマシンのパワートレイン技術が仕込まれている。

フォルクスワーゲン・ゴルフeR1 エレクトリック・プロトタイプ
フォルクスワーゲン・ゴルフeR1 エレクトリック・プロトタイプ

このシステムは、今後Rパフォーマンス部門からリリースされる、ホットなID.モデルへも展開されることになるだろう。洗練度を高めるため、磨き込みに余念がない。ID. GTXシリーズの上位グレードに位置づけられ、実際のモデルは2020年後半には姿を表す予定だ。

今回AUTOCARは、このゴルフeR1の助手席試乗を、短時間ながら許された。招かれたメディアの数は多くはないようだ。場所は、オーストリアのアルプス山脈、ツェル・アム・ゼーの飛行場に用意された、アイスレース用サーキット。

そもそも、このフォルクスワーゲン・ゴルフeR1とは何か。ツインモニターを搭載する、4輪駆動の高性能EVのテストマシンとなる。

このパワートレインは、基本的にフォルクスワーゲンID. Rヒルクライム・レースマシンと同じもの。パイクス・ピークやニュルブルクリンク、グッドウッド、中国の天門山などでコースレコードを樹立したことは記憶に新しい。

ゴルフTCRツーリングカーにツインモーター

ID. Rのパワートレインの耐久性を試すために選ばれたシャシーは、2018年に完成していた、ゴルフTCRツーリングカーのもの。フォルクスワーゲン・モータースポーツ社によって実装され、開発車両らしくカモフラージュ柄のモディカラーに包まれている。

ID. Rがパイクス・ピーク国際ヒルクライム・レースで、7分57秒148の新記録を打ち立てたのは2018年。歴史として刻まれておしまい、という可能性もあったが、綺麗に掃除し直して、アップデートされ、ゴルフTCRツーリングカーのボディをまとうことになった。

フォルクスワーゲン・ゴルフeR1 エレクトリック・プロトタイプ
フォルクスワーゲン・ゴルフeR1 エレクトリック・プロトタイプ

フォルクスワーゲンとしては、このスーパーEVゴルフをショーケースに使用して、一連のイベントに参加。ビデオなどでも紹介し、高性能なEV技術を披露することが目的だ。将来的なEVの「R」に用いるパワートレインの開発テストも兼ねているという。

モータースポーツ前提のテストマシンとして、フォルクスワーゲン・ゴルフeR1はとても良く仕上がっている。eR1という呼び名も、新鮮なボディカラーも、イメージが良い。eテクノロジー・テストカーという名前よりずっと良いだろう。

メカニズムをリファインし、アップデートを続ける開発チームの努力のたまもの。フォルクスワーゲン・モータースポーツは、技術的な部分に関して多くを明らかにしていないが、ツインモニターで4輪駆動だということはわかっている。

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