【値下がり傾向】911カレラ・スピードスター、ピーク時の半値に ボナムス・スコッツデイル・オークション解説

公開 : 2020.02.12 06:10  更新 : 2021.10.11 09:30

1989年の「911カレラ・スピードスター」が競売に。落札額は、ピーク時の半値まで落ちました。ボナムス・スコッツデイル・オークション解説の後編です。

全体のトレンド、値下がり傾向に

text:Kazuhide Ueno(上野和秀)
photo: BONHAMS

RMサザビーズと共にコレクターズカー・オークションをリードするボナムスも、1月に北米でスコッツデイル・オークションを開催した。

2020年の動向を占うオークションだが、終えてみると特別な価値のない高額なモデルは敬遠され、数のあるモデルは昨2019年から続く値下がり傾向に逆らえなかったようだ。

落札額が1356万円まで下落した911カレラ・スピードスター
落札額が1356万円まで下落した911カレラ・スピードスター

具体的な例としては、1971年ポルシェ911T 2.2が801万円、1995年フェラーリF355スパイダーは850万円に留まっている。

とくに、ピーク時には3000万円で落札されていた1989年ポルシェ911カレラ・スピードスターはこの傾向が顕著に現れた。

1356万円まで下落 スピードスター

スコッツデールに登場した911カレラ・スピードスターは、オリジナルのマニュアル類、ツールキットが揃った1989年式。G50型の5速マニュアル・トランスミッションという個体であったが、落札額は1356万円まで下落した。

アメリカでのオークションということからヨーロッパ車への入札は弱めで、1969年ランチア・フルヴィア・クーペ1.3Sはなんと173万円で終わっている。さらに、コンディションの良いMG A 1600クーペでも247万円に留まった。

落札額が1356万円まで下落した911カレラ・スピードスター
落札額が1356万円まで下落した911カレラ・スピードスター

またアメリカのカーショーにリンクするオークションで客層が違うこともあり、いつもの人気モデルであるメルセデス・ベンツ300SLロードスター、ポルシェ911カレラRS 2.7は最高落札額に達せず流れてしまった。

アメリカ車/レースマシンが登場

一方で、ボナムス・スコッツデイル・オークションにはアメリカの開催だけにカスタムカーも姿を見せた。

それを象徴するモデルとして、1927年フォードV8-60ホットロッドが登場し、370万円で落札された。

1970年マクラーレンM8C 流札(2750-3850万円)
1970年マクラーレンM8C 流札(2750-3850万円)

ほかにも今は無きメーカーのオーバン、コ-ド、ナッシュ、パッカード、スチュードベーカーなどの車両が並び、どれも人気を集め相応の額で落札されていた。

あらゆる層に向けたオークションという性格がよく現れているのが、レーシングマシンも用意されたこと。

かつてカンナム・シリーズを席巻したマクラーレンがカスタマー向けに製作したスポーツ・プロトタイプのマクラーレンM8C(流札)や1967年シボレーカマロZ/28 SCCAレーシング(流札)、クーパーT-39クライマックス(流札)などの本格的なものは敬遠された。

しかし乗りやすくヒストリーのある1967年オースチンヒーレー・スプライト・ルマン・クーペは1356万円まで値を上げている。

記事に関わった人々

  • 上野和秀

    Kazuhide Ueno

    1955年生まれ。気が付けば干支6ラップ目に突入。ネコ・パブリッシングでスクーデリア編集長を務め、のちにカー・マガジン編集委員を担当。現在はフリーランスのモーター・ジャーナリスト/エディター。1950〜60年代のクラシック・フェラーリとアバルトが得意。個人的にもアバルトを常にガレージに収め、現在はフィアット・アバルトOT1300/124で遊んでいる。

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