【日常性と走行性とのベストミックス】ポルシェ・マカンGTS 2.9L V6ツインターボ

公開 : 2020.02.18 10:20

ポルシェのGTSといえば、シリアスなドライバーへの欲求を満たしつつ、日常的な利用も叶えるグレードでした。コンパクトSUVのマカンに追加されたGTSグレードは、その系譜を受け継いでいるのか、ポルトガルで確かめました。

果報は寝て待て、が当てはまったGTS

text:James Disdale(ジェームス・ディスデイル)
translation:Kenji Nakajima(中嶋健治)

 
マカンの人気は衰えることがないようだ。ポルシェの新グレードの投入を見ると、焦りがまったく感じられないほど。

そんなマカンにGTSグレードが遅れて追加となった。果報は寝て待て、ということわざは、あながち間違いではなさそうだ。

ポルシェ・マカンGTS(欧州仕様)
ポルシェ・マカンGTS(欧州仕様)

ポルシェのGTSグレードといえば、間違いなくモデル内のスイートスポット的なクルマ。モータースポーツの流れを汲むシリアスなGTグレードに、日常的な使いやすさを与えた、絶妙なバランスにある。

ポルシェにおいてもレス・イズ・モアが必ずしも当てはまらないのが現実だが、GTSの場合、価格がさらに上のクルマにも迫る訴求力を備えていることは通例。より長時間乗っていたいポルシェなら、GTSの方だったりする。

GTSの成り立ちは、従来どおりシンプル。サスペンションの設定はより走りにフォーカスされ、パワーとスタイリングに僅かな追加が施された。グレードの優位性を明確に周囲へ伝えるために。

実際に得られる変化は、追加された部品や手直しの合計より、より沢山の効果として現れている。それも従来どおりだ。

標準のマカンと比べて車高は15mm低く、GTSはモデル内で最も低いスタンスを取る。ただし、オプションのエアサスペンションを選んだ場合、低くなるのは10mm。試乗車には、PTVトルク・ベクタリング・リアデフなど、運動性能を高めるオプションもいくつか追加されていた。

従来比で20psと2.2kg-mの向上

低められたサスペンションには、改良を受けたアダプティブダンパーが組み合わされ、高速域での優れた姿勢制御を実現。専用のRSスパイダー・デザインの20インチホイールと、鮮やかな赤色で塗られたブレーキキャリパーが、足元を彩る。

最大の変更点はエンジン。従来までの3.0L V6ツインターボから、最新の2.9L V6ツインターボに置き換わっている。マカンSのエンジンをパワーアップしたのではなく、マカン・ターボを少し穏やかにしたユニットだ。

ポルシェ・マカンGTS(欧州仕様)
ポルシェ・マカンGTS(欧州仕様)

Vバンクの内側にターボをマウントする、ホットVと呼ばれるレイアウトで、最高出力381ps、最大トルク52.9kg-m。従来比で20psと2.2kg-mの向上を果たした。

特徴となるのが、最大トルクがわずか1750rpmから沸き立ち、5000rpmまで維持されること。ステアリング精度を高めるため、エンジンマウントも高剛性のものとなり、スポーツエグゾーストからはゾクゾクする息づかいを楽しめる。

7速PDKの制御も見直され、変速は鋭くなった。最新の4輪駆動システムには、ポルシェ・トラクション・マネージメント(PTM)機能を採用。後輪駆動ベースの操縦性とバランスを実現させているという。

ドライビングを楽しめる道に出てみる。控えめなパワーやトルクの増加以上の、走行性能の向上をマカンGTSは獲得していることを実感する。幅広い回転域でフラットなトルクカーブと、シャープさを増したトランスミッションの組み合わせで、GTSは意のままに進んでいく。

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