【一番のお値打ちモデル】ポルシェ718ボクスターGTSへ試乗 NAフラット6復活
公開 : 2020.02.21 10:20
ケイマンGT4に搭載されていた見事な4.0Lフラット6が、より柔らかいボクスターGTSへ搭載されました。走りと日常性の両立という、最高のハーモニーを生むことになるのか、ポルトガルで英国編集部が確かめました。
GTSに帰ってきたNAフラット6
新しいポルシェ718ボクスターGTSに、 自然吸気の水平対向6気筒エンジンが帰ってきた。ポルシェ製ミドシップの主軸グレードへ、フラット6が復活したということだ。
フラット4が完全になくなったわけではない。ターボ過給されるかたちで、標準グレードとSの718ボクスターとケイマンには残っている。
NAフラット6が搭載されることになった、718ボクスターと718ケイマンのGTSというグレードは、従来から絶妙な成り立ちを得てきた。ハードコアなドライビングファンと、日常的な利便性を、秀逸のバランスで叶えてきた。
ボクスター・スパイダーとケイマンGT4向けに専用開発されたのが、この4.0Lの6気筒エンジン。限定されたモデルのみに搭載することは、ポルシェとしても本意ではなかったのかもしれない。
初めに注目のエンジンから見ていこう。GT4直系というわけではないものの、基本的には同じユニットと考えて良い。レブリミットは7700rpmへと引き下げられ、最高出力も400psへと落とされている。
GT4と比べると20psほど低い。そのかわり最大トルクは同等の42.7kg-mを5000rpmから発生し、同じツイン・エグゾーストシステムから息を吐く。
トランスミッションの6速マニュアルも同じだが、日常的な使いやすさを考慮し、ストロークはやや長め。7速PDKも、2020年末以降に選択できるようになる予定。
耳に届く本物のメカニカル・サウンド
シャシーを見ると、GT4との共通性は少ない。GT4は想像以上に専用パーツが投入されていたのだ。
GTSはボールジョイントではなく、一部のブッシュ類も強化品ではない。タイヤサイズもフロントが235でリアが265へと幅が狭くなっており、トレッドもそのぶん狭い。ブレーキディスクの直径は、GT4の380mmに対して350mmへとサイズダウンしている。
アクティブ・エンジンマウントやアダプティブダンパー、トルクベクタリング・リミテッドスリップデフなどは装備する。
それ以外の部分も、従来の718ボクスターGTSからわずかに変更を受けている。見た目の手直しも加えられているが、最もわかりやすいのはGTS4.0と記されたエンブレムが、ドア下端に追加されたことだろう。
インテリアにはアルカンターラが一部に用いられ、GTSのロゴがあちこちに点在する。標準装備のシートは、オプションの固定式バケットシートほどホールド性が高いわけではないが、日常走行を快適に過ごすには充分なサポート性を備えている。
シートに座り、キーを回せば、新しい718ボクスターの素晴らしい体験を予見できる。以前はスバル車のエンジン音のように聞こえていたサウンドだったが、今回は本物のメカニカル・サウンドが耳に届いてくる。
ポルシェ製のフラット6は、ドライバーのすぐ後ろへマウントされている。息を吹き返したことを喜ぶように、空中へと咆哮が広がる。走り出せば、それは圧倒的な喜びだ。