【ムッソリーニが所有していた】貴重なアルファ・ロメオ6C1750SS 大掛かりなレストアへ
公開 : 2020.02.22 20:50
イタリアのファシズム指導者ベニート・ムッソリーニが最初のオーナーだったというアルファ・ロメオに、当時の姿を取り戻すための大掛かりなレストア作業が施されることになりました。
ムッソリーニがラリーに出場
ベニート・ムッソリーニが最初のオーナーだった稀少なアルファ・ロメオ6C1750スペル・スポルトに、徹底的なレストレーションが施されることになった。現在は写真のような状態だが、最終的にはコンクール・レベルのコンディションにまで仕上げられる予定だ。
このアルファは1930年1月、イタリアの独裁政権で知られるムッソリーニに納車されたと、資料に書かれている。当時の価格は6万リラだったという。ムッソリーニがこのアルファを運転し、ローマ・オスティア間で行われたラリーの一区間を走っている様子を収めたフィルムも残されている。
数奇な運命から残っていたこのクルマの写真や映像は、失われたかつての姿を取り戻すための手掛かりとなるだろう。
レース仕様に改造された現在の姿
ムッソリーニのコレクションとして数年を過ごした後、この車台番号6C0312898は、1937年3月21日にレナト・ティジッロに買い取られた。同年8月、東アフリカ・エリトリアの首都アスマラに運ばれたと推定される。
オリジナルはスタビリメンティ・ファリーナ製ボディのスポーツ・レーサーだったが、この時代にフェンダーやウインドシールド、ヘッドライトなどの公道走行用装備が取り外され、現在のようなレース仕様に仕立てられたようだ。
当時、エリトリアはイタリアの植民地だった。その首都アスマラではイタリア人の若者たちによって、多くのヒルクライムや公道レースが行われていた。
オリジナルの状態を復元するために
現在このアルファを所有する人物は、オリジナルの状態に戻したいと考えていた。英国サイレンセスターのレストア業者であるソーンリー・ケルハムが、この難しい仕事を請け負うことになった。
既に始まっている詳細な研究によって、このクルマの歴史と1930年代当時の姿が明らかになった。現在のグリルはオリジナルではなく、ボディ・パネルの多くも変更されていることが判明した。
シャシーとリア・アクスル、ギアボックスはオリジナルのままだ。しかし、それ以外は手を加えられている部分も多い。レストア作業は数千時間に及ぶと予想される。
数千時間のレストア作業が必要
「わたしたちの目下の挑戦は、最初にスタビリメンティ・ファリーナの工房で作られた姿を復元することです。それには徹底的な研究と、卓越した職人による数千時間の作業が必要になります」と、ソーンリー・ケルハムの共同創業者であるサイモン・ソーンリーは語っている。
「このような自動車の歴史は、将来に向けてきちんと保存されるべきです。素晴らしい物語の1ページに関わることができ、非常に嬉しく思います」。