【コーチビルドが開く新時代】ベントレー・バカラル 手作業による至高の12台
公開 : 2020.03.03 18:15 更新 : 2020.03.04 08:28
英国価格150万ポンド(2億1450万円)のベントレー・バカラル。6.0L W12気筒エンジンを搭載した、ベントレーのマリナ―部門が生み出す、新次元の高級2シーター・バルケッタです。今後のコーチビルドの展開も含めて、話を伺いました。
ベントレーのコーチビルドの復権
ベントレー・マリナー・バカラルは、英国のコーチビルダーが切り開く、新時代を象徴するモデルだといって良い。現在ベントレー・マリナーは、超高級な特別仕立てモデルを年間2台のペースで発表している。
英国価格150万ポンド(2億1450万円)となるバカラルは、オープンボディのグランドツアラー。生産台数は12台の限定で、すべてが既に忠実なベントレーのロイヤル・カスタマーに割り当て済みだという。
2シーターのデザインは、昨年にベントレー100周年を記念して発表されたEXP 100 GTに大きな影響を受けている。バカラルはEXP 100 GTと並行してデザインされたという。
特にコンセプトカーとの結びつきを感じさせるのは、現行モデルの双眼ではなく、単眼となるヘッドライト。またダークブロンズのボディ装飾も特徴だ。ブレード状のデザインとなる、テールライトにも、強い共通性を漂わせる。
ボディデザインのチーフ、JPグレゴリーは、「ベントレー・マリナーが手掛けた初めての現代版コーチビルド・モデルです。本来、ベントレーは(コーチビルドで)有名なブランドです」 と話す。
「バカラルの個性は、未来のラグジュアリー・モビリティを想起させるものです。我々はすでにEXP 100 GTで、そのビジョンを提示し始めていました。バルケッタ・デザインは、視覚的な重さを打ち消します。エクステリアとインテリアのシームレスな流れを生んでいます」
量産車では実現できないデザイン
インテリアは、1929年のバーキン・ブロワー・レーシングカーの流れを汲むと、インテリアデザインのチーフ、ダレン・デイは話している。「わたしたちは包まれるようなコクピットを重視してデザインを進めました。シートの後ろ側も含めて」
「もちろん、ゼロからデザインしています。スピーカー部分の細かな装飾も含めて。量産車では実現できないデザインを見たいと考えました」 バカラルのオーナーは、シートの後ろにピッタリと収まる、特注のラゲッジセットをオーダーすることも可能だ。
ベントレーの現行モデルから流用される部分は、キーレスエントリー機能に伴うドアハンドルと、エアバック機能を実装するためのステアリングホイールだけだという。
ほかにインテリアで既視感を感じさせるのは、ダッシュボードやセンターコンソールのボタン類。しかし、バカラルのためにまったく新しい素材で仕上げられている。
中には、ケンブリッジで自然に倒れた樹齢5500年の木材や、スコットランド国境付近で取られたウールやツイードなどが用いられている。メーターや時計のパネルはダークブルーの盤面が埋められ、メキシコの湖の名前が由来となるバカラルをイメージさせる。
「バカラルの開発を始めた時、まだEXP 100 GTコンセプトにも取り組んでいました。異なるものを同時に取り組むことはいい経験になります」
「クロームメッキや、古典的な素材はほとんど用いていません。ベントレーの可能性を現代的に解釈するうえで、飛躍といえるデザインだと思います」 と振り返る、ベントレーのデザインディレクター、ステファン・シエラフ。