【予期せぬ成功?】日産スカイラインにみる 「インフィニティ」ブランド日本上陸の可能性
公開 : 2020.04.05 05:50
日産がグローバルに展開するブランド「インフィニティ」。これまで正式なかたちで日本市場への導入をコメントされたことはありません。スカイラインなどを例に、日本上陸の可能性を桃田健史が考えます。
ファンがいるのに市場導入に未だ至らず
トヨタのレクサス、ホンダのアキュラと並び、日系メーカーのプレミアムブランドとして知られている。
日本上陸については、正式導入は2005年からのレクサスのみ。アキュラについて、ホンダは2005年末に2008年秋導入を発表するも、2008年時点で2010年頃導入を撤回した。
一方、インフィニティについて、日産はこれまで正式なかたちで日本市場への導入をコメントしたことはない。
ただ、筆者(桃田健史)はこれまでに、日産本社やアメリカ法人の幹部らと様々な状況で取材や意見交換する中で「検討中」、または「検討したが、当面は難しいとの判断」といった声を聞いてきた。
インフィニティが日本上陸に至らない、「あと一歩」があるようだ。
日本では90年代から、左ハンドルのインフィニティをアメリカから逆輸入したり、日本で購入した日産車にアメリカから取り寄せたインフィニティのエンブレムをつけたりと、インフィニティ・ファンが相当いる印象があった。
だが、90年代末の日産ディーラー網の統廃合や、その後のレッド・ブルーステージなど、国内販売戦略が何度も変わる中で、インフィニティ販売網を新設することは日産にとって大きなリスクだったと考えられる。
そうした中、驚きのモデルが日本上陸を果たす。
インフィニティ「スカイライン」?
「まさか、このまま、スカイラインとして日本で売るわけにはいかないでしょ」
アメリカで発売されるインフィニティ「Q50」を前に、日産の幹部に聞くと、その答えはイエスでもノーでもなかった。
場所は、ロサンゼルス郊外にあるビーチサイドのホテル。時期は、いま(2020年)から7年前、2013年9月だ。
イベント名称は、「日産360(サンロクマル)」
日産が各国のジャーナリストを招いて、世界各地で展開する事業全体を、実車の走行体験を交えて行う大型のイベントだ。関係者によると、開催にかかった予算は数億円。
試乗体験では、3.8L V6ツインターボ搭載で四駆の「ジュークR」や、EVリーフのレーシングカーなど、通常の報道陣向け試乗会にはない車両が登場した。
プレゼンでは、インドなど新興国でのダットサン事業の進捗などが興味深かった。
そうした中で、日本のジャーナリストたちの関心が高かったのが、インフィニティ「Q50」だ。
食事の席で、日産本社幹部は「もしこれをスカイラインとして日本に導入したら、ディーラーやユーザーはどう思うか?」と聞かれたのだ。
結果的に、同車は「スカイライン」として日本発売された。しかも、インフィニティブランドのキャラクターデザインはそのままという、秘策を打った。
これはまるで「以前との逆」の手法だ。