【新型コロナウイルス】世界の自動車産業、中国市場から学べること 鍵は超高級車とオンライン
公開 : 2020.04.09 11:20
世界中で猛威を振るっている新型コロナウイルスは自動車産業にも大きな影響を与えています。一方、震源地の中国では新車市場に早くも回復の兆しが見られており、今回の危機を契機に新たな取り組みも広がっているようです。中国市場回復の秘密を探ります。
中国市場、早くも回復の兆し
新型コロナウイルス感染拡大を受け多くのひとびとが生命の危機を感じるなか、経済の心配など不謹慎に映るかも知れないが、一方で部品サプライヤーから自動車メーカー、そして販売店に至るまで、AUTOCARの本拠地がある英国では150万人ものひとびとが自動車関連産業に従事しているのだ。
依然この新型ウイルスの感染経路やいつまで感染が続くのかを見通すことなど出来ないが、他の国々からは参考にすべき事例も出てきている。
感染拡大の震源地である武漢を抱えながらも、3か月ほどで最悪期を脱したと言われている中国は、いま注目すべき存在と言えるだろう。
新型コロナウイルス発生前から中国では新車市場の減速が明らかであり、感染拡大に伴いこの国の大部分が閉鎖されている。
自動車関連企業が多く軒を連ねる工場地帯や販売店は休業を余儀なくされ、多くの市民が都市封鎖に直面するなか、新車購入を考えるものなどほとんどいなくなっていた。
その結果、2月前半の中国新車登録台数は対前年比92%もの減少に見舞われている。
それでも、1月に180万台だった販売台数が2月にはわずか25万台まで落ち込んだものの、早くも3月を迎える前には事態は改善の兆しを見せ始めた。
中国市場、早期回復の秘密は?
確かに依然として中国の自動車マーケット数字は厳しいままだったが、2020年2月前半の壊滅的な状況も月末に向かうにつれ改善し、最終的には対前年比81.7%減にまで持ち直している。
3月前半には対前年比で47%まで回復し、さらにまだ半月も残されているのだ。(執筆時点)
では、どこからこうした中国マーケットの回復は始まったのだろう?
われわれが話を聞いたひとびとは、匿名を条件に「中国新車マーケットは危機に瀕している」と話してくれたが、いっぽうその全員が大衆ブランドから高級ブランドまで、さまざまなメーカーや販売店で働いている。
最初のポイントは、中国ではこれまでのところ中間層に比べ富裕層が受けた影響は小さいということだ。
裕福なひとびとは支出を減らしておらず、そのため、少量生産で納車まで時間の掛かるラグジュアリーブランドは、それほど大きな影響を受けずに済んでいるように見える。
そして、同じようなことが英国や欧州のメーカーにも当てはまるかどうかというのが、車両生産を休止したアストン マーティンやベントレー、ロールス・ロイスといったラグジュアリーブランドの回復のカギを握ることになるだろう。