【限られた規格で】常識を覆した軽自動車5選  決められたサイズの中で各社が創意工夫

公開 : 2020.04.10 05:50  更新 : 2021.10.13 13:54

軽自動車は日本独自の規格です。厳密に決められた数値の中で1つでもオーバーすれば普通車登録に。そんな限られた規格の中で、各社さまざまな趣向を凝らしました。常識を打ち破ったブレイクスルー5選。

日本独自の規格 オーバーすれば普通車に

text:Kouichi Kobuna(小鮒康一)

軽自動車は日本独自の規格であり、全長3.4m以下、全幅1.48m以下、全高2m以下、排気量660cc以下、乗車定員4名以下、貨物積載量350kg以下の範囲で作ることが定められている(執筆時点での規格)。

逆を言えば、この中の1つでもオーバーすれば普通車登録となってしまうというわけだ。

そんな限られた規格の中ではあるが、各社さまざまな趣向を凝らし、現在でもスタンダードなセダンからオープン2シーター、スライドドアを備えたハイトワゴンにSUVと多くの車種が存在している。

今回はそんな軽自動車の中でもそれまでの常識を打ち破ったブレイクスルー的な車種をご紹介しよう。

スズキアルト(1979年)

当時、軽乗用車には高い物品税が課せられていた。

一方で軽の商用車は非課税であったことを逆手にとって、乗用車的なハッチバックスタイルながら商用車登録という「軽ボンネットバン」という新ジャンルを切り開いたのが、1979年に登場した初代アルトだった。

スズキ・アルト(1979年)
スズキ・アルト(1979年)

主に近隣への移動の足や買い物、子どもの送迎といった用途に使う主婦層をターゲットに、前席重視のパッケージングとし、装備も極限まで簡略化。

その結果、47万円という当時としても驚異的な低価格を実現していたのだった。

スズキ・ワゴンR(1993年)

アルトで割り切った使い方をする軽自動車、という提案をしたスズキであった。

1993年にデビューした初代ワゴンRは一転して、男性ユーザーにもファーストカーとして使ってもらえるようなクルマをコンセプトに生まれたモデルだった。

スズキ・ワゴンR(1993年)
スズキ・ワゴンR(1993年)

ボディサイズが限られているため、室内空間がどうしても狭くなってしまいがちだった軽自動車。だが、ワゴンRでは全高を高くすることで室内空間を確保するという手法を取り、アップライトな着座位置で大人4人が難なく座れる軽自動車を実現していた。

ダイハツタント(2003年)

ワゴンRが開拓した軽トールワゴンというジャンルは、ダイハツ・ムーヴホンダ・ライフなど多くのフォロワーを生み出し、一躍軽自動車の人気ジャンルへと躍り出た。

そこへ更なる新風を吹き込んだのが2003年に登場したタントである。

ダイハツ・タント(2003年)
ダイハツ・タント(2003年)

さらに全高を高くても1.7m超とし、発売時は軽自動車最大となる2.44mのロングホイールベースを相まってヘタなコンパクトカーを凌ぐ室内空間を実現。

室内高は1.33mと小さな子どもであれば立ったまま移動できるほどで、一躍ファミリーカーへの仲間入りを果たしたのであった。

スーパーハイト軽ワゴンと呼ばれるこのジャンルは現在でも大人気であり、ホンダN-BOXを筆頭に、普通車にも負けない充実装備と広い室内空間は若い世代のファミリーカーとして絶大な支持を集め続けている。

記事に関わった人々

  • 小鮒康一

    Koichi Kobuna

    1979年生まれ。幼少のころに再放送されていた「西部警察」によってクルマに目覚めるも、学生時代はクルマと無縁の生活を送る。免許取得後にその想いが再燃し、気づけば旧車からEV、軽自動車まで幅広い車種を所有することに。どちらかというとヘンテコなクルマを愛し、最近では格安車を拾ってきてはそれなりに仕上げることに歓びを見出した、尿酸値高い系男子。

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