【なぜ?】多くのメーカーが「オールシーズンタイヤ」を出してきたワケ スタッドレスとの違いは
公開 : 2020.04.12 05:50 更新 : 2023.10.04 19:11
多くのタイヤメーカーが、オールシーズンタイヤを投入しはじめました。オールシーズンタイヤのメリットは、スタッドレスタイヤほどの雪道での活躍ぶりではないにせよ、毎度、履き替えずに済むメリットがあります。
オールシーズンタイヤ そもそも何なのか
3月29日に首都圏を襲った大雪。
幸いにも日曜日ということもあり、大きな混乱は見られなかったが、3月下旬以降に、都心で1cm以上の積雪があったのは32年ぶり。面食らった人も多かったのではないだろうか。
実際、筆者の周りでも「さすがに降らないと思ってサマータイヤに戻したばっかりなのに……」という声も多く、急を要する外出の予定が入らないことを祈るしかなかったようだ。
このように普段はスタッドレスタイヤに履き替える習慣のあるユーザーであっても、季節外れの降雪に対しては無力。
となると、俄然気になってくるのがオールシーズンタイヤではないだろうか。
オールシーズンタイヤはその名の通り、季節を問わず通年で使うことができるタイヤだ。冬と春に毎回行ってきたタイヤ交換の必要がなくなる。そのタイヤを保管するスペースも不要となるものだ。
もちろん絶対的な性能は専用タイヤには及ばないものの、首都圏に住んでいて冬には数回関東近郊のスキー場へ行く、というような使い方であれば十分こなせる実力を持ち合わせており、履きっぱなしでいいということは、今回のような予想外の積雪でも慌てる心配もないということになる。
欧州で火が付いたオールシーズンタイヤ需要
日本ではここ数年で一気に認知度が高まった感のあるオールシーズンタイヤだが、人気の火付け役となったのは欧州ドイツだと言われている。
日本と同じく四季のあるドイツでは、当然冬季になると冬用タイヤを装着する。
ドイツの法律では、凍結路や積雪路をいった冬の路面を走行する際には冬用タイヤを装着することが義務付けられており、サマータイヤで走行するだけで罰金と違反点数が課せられるのだ。
さらにその状態で事故を起こすとより重い罰金が課せられるだけでなく、過失割合はサマータイヤ側がほぼ100%となり、保険会社からの保険金支払いも拒否されてしまう。
つまり、冬の路面をサマータイヤで走るということは、過失ではなく故意に事故を起こしたという判断になるというわけだ。
そのため、ほとんどのユーザーが冬季には冬用タイヤを装着していたのだが、やはりコスト面と手間の面がユーザーに大きくのしかかり、通年履きっぱなしでOKなオールシーズンタイヤに人気が集中したのである。
日本ではまだそこまで厳格ではないものの、やはり交換の煩わしさやタイヤの保管場所問題などもあって、じわじわと注目を集めているというのが現状だ。