【バッテリー増加で航続距離は2倍】フォルクスワーゲンe-Up!へ試乗
公開 : 2020.04.21 10:20
フォルクスワーゲン最小の純EVがe-Up!。陽気なドライビングフィールはそのままに、より長い航続距離を獲得し、価格は下げられました。2020年仕様にアップグレードしたe-Up!を、英国編集部が評価しました。
航続距離は2倍にしつつ価格はお安く
フォルクスワーゲンUp!の中で、トップグレードでもある純EVがe-Up!。2020年仕様としてアップデートを受けた。英国の一般道で右ハンドル車を試乗してみたい。
2020年モデルの特徴が、航続距離の伸延と、価格の低下にある。ボックス形状からポーチ状のセルに置き換わったことで、リチウムイオン・バッテリーの蓄電量が大幅に増加。従来のほぼ2倍に当たる、公称で255kmの距離を走れる性能を得ている。
同時に英国価格は2000ポンド(27万円)もダウン。2万ポンド(270万円)をわずかに超える程度となった。都市部向けのコンパクトカーとしては充分高いものの、ルノー・ゾエより大幅に安い。
新しいバッテリーによって、車重は15kgプラスされているが、メカニカルな部分での変更は受けていない。ほかの運動性能も変わってはいない。
エンジン版のUp!と比べると200kgほど重たいが、依然としてUp!らしく、運転は小気味よく楽しい。ほかのコンパクトEVも同様ながら、車重が増えたからといって、ハンドリングへの悪影響は最小限に留まっている。
インテリアは、アナログのメーターがEV専用のものとなる。中央には大きく読みやすいスピードメーターが配され、その横にバッテリーの充電量を示す残量計と、モーターの負荷を示すメーターが付く。
肝心の航続距離は示してくれない。トリップコンピューターの画面を切り替えて、表示させることができる。
笑みが溢れるほど力強い加速
フォルクスワーゲンは、Up!シリーズへ丁寧なアップデートを施した。このe-Up!も同様で、カメラ映像を利用した車線維持支援システムに、カーテンエアバッグなどが追加されている。
インテリアデザインは、都市部向けコンパクトとして考えればスマート。前席空間も広々としている。一方で後部座席は少し狭い。
シートはヘッドレストが一体の背もたれとなったが、筆者は従来までの、ヘッドレストが別になっていたシートの方が良いと思う。位置の調整ができない。
e-Up!では、5種類のドライブモードを選べ、モードによってエネルギー効率も変化する。ステアリングホイールに取り付けられたパドルを弾くと、モーターによる回生ブレーキの強さの調整も簡単に可能。
セレクターでDを選択するのが、デフォルトの走行モード。そこからシフトレバーを左右に倒すことで、D1、D2、D3と切り替わり、3段階で回生ブレーキの強さが異なる走りを選べる。
レバーを後ろへ倒せば、Bモードに入る。アクセルペダルを離した時の回生ブレーキが最も強くなり、多くの場面でワンペダル・ドライブが可能となる。
目指す速度に到達したら、クルマの備える運動エネルギーを用いて惰性走行するのが最も効率的。不要な加減速は、基本的にエネルギーの無駄遣いとなる。
回生ブレーキの強さを最も強くすると、ブレーキペダルの感触と減速感には違和感が残る印象だった。アクセルペダルの感触とレスポンスは好印象。リニアで予想も付きやすい。
e-Up!は、都市部の道では充分に小さく、不満ないほど良く走る。運転席からの視界にも優れ、ボディサイズも掴みやすい。BMW i3と同様に、シティカーとして良く考えられている。