【見通せる確かな仕上がり】BMW 4シリーズ・プロトタイプ ドイツで試乗 後編

公開 : 2020.05.05 10:20

ミュンヘンから生まれる最新のクーペ、BMW 4シリーズのプロトタイプに試乗する機会を得た英国編集部。拡張された動的性能と高速域での洗練性が、強く印象に残ったようです。ドイツの一般道で試乗しました。

乗り心地とハンドリングに注力

text:Greg Kable(グレッグ・ケーブル)
translation:Kenji Nakajima(中嶋健治)

 
新しい4シリーズ・クーペで、BMWが開発の最終仕上げとして注力するのが、乗り心地とハンドリング。試乗したのは距離を走り込んだ2つのプロトタイプだったが、ドライバーを中心にするという、かつての特性を取り戻そうという強い意志を感じた。

その起源は、1975年に発表された初代3シリーズにまでさかのぼる。BMWが目指すのは、高次元の敏捷性とドライバーとの一体感。そこへ、優れた乗り心地と快適性をも盛り込んでいる。

BMW 4シリーズ・クーペ・プロトタイプ
BMW 4シリーズ・クーペ・プロトタイプ

この内容は、最新の3シリーズにも共通する進化。選択するドライビングモードによって、大きく乗り味が変化するところも面白い。

アダプティブ、エコ、コンフォート、スポーツ、スポーツ・プラスの5種類が用意される。従来以上に、振り幅の大きいドライビング特性が楽しめる。

4シリーズ・クーペの加速性能の数値は明らかになっていない。現行の430iが持つ、0-100km/h加速の5.6秒は縮めるはず。

基本的にドライブトレインは、4ドアサルーンの330iと同じ。WLTP値での燃費も、13.7km/Lから14.6km/L前後に納まることになるだろう。

先に技術者のジョスが話していた可変式電動パワーステアリング、最新のバリアブル・スポーツステアリング・システムは、高次元の精度と操舵感を獲得している。繊細な制御が行われ、重み付けの変化は小さく、フィードバックは大きい。

直進時はリラックスした挙動ながら、ターンイン時は反応がかなりダイレクト。深く回していくほどクイックに変化し、特に都市部での操作性で向上していると感じた。

より確かなステアリングフィール

前後重量配分は50:50。ボンネットとフロントフェンダー、ドア、フロントサスペンション・タワーはアルミニウム製。ほかにも3シリーズから受け継いだ、細かな軽量化が施されている。

BMWが4シリーズ・クーペへ与えたシャシー変更の中で、スポーティさを高めている要素の1つが、3シリーズより23mm広げられたリアトレッド。クーペに相応しい、安定感のある容姿も得ている。

BMW 4シリーズ・クーペ・プロトタイプ
BMW 4シリーズ・クーペ・プロトタイプ

M440iでは標準となるMスポーツ・サスペンションの場合、車高は10mm低められる。クラウチング・スタートで構えたように、見た目の動感がさらに増している。

アルミニウムを多用したサスペンションの構成は、基本的に最新の3シリーズと共通。マクファーソンストラット式をフロントに、5リンク式がリアに与えられる。ただし、セッティングは4シリーズ専用だ。

フロントはキャンバー角が強められた。「より確かなステアリングフィールを叶え、直接的な操縦性を生み出します。切り初めの反応も大きく向上させました」 と話すジョス。

シャシー回りにはいくつもの手が入っており、スポーティさに貢献する。フロントバルクヘッド内には補強パネルが追加され、フロントストラット上部を結ぶタワーバーも新設計。エンジンルーム内にはAフレーム・サポートも備わる。

ボディ剛性を高め、サスペンションの取り付けを強固にしながら設定を引き締めている。4シリーズ・クーペのすべてのグレードで、リフト・リレーテッド・ダンパーを採用することも見逃せない。

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