【ミニ史上最速】ミニJCW GPへ試乗 306ps、3000台限定のスペシャル 前編
公開 : 2020.05.07 10:20
いま最もハードコアな内容を持つロードゴーイング・ミニが、JCW GP。最高出力306psに、徹底的な軽量化と、挑発的なボディキットで完全武装しています。日本導入240台という特別なモデルを、ドイツで評価しました。
コンセプトモデルの発表から2年半
いまから2年半ほど前。ドイツのフランクフルト・モーターショーに姿を表した、過激なコンセプトカーがあった。その量産版が、遂に公道へと降り立った。ミニ・ジョン・クーパー・ワークス(JCW) GPだ。
最速のロードゴーイング・ミニの開発とはいえ、かなり時間が掛かった印象はある。標準のJCWは発表されたものの、GP仕様の情報が表に出ることはなく、計画が中止になったかにも思えた。
読者の中には、首を長くして待っていた人もいるだろう。期待通りの仕上がりなのか、気持ちがはやる。
強い印象を残した先代同様、新しいミニJCW GPも、生産台数には限りがある。全世界3000台の限定で、英国市場には575台が残る。日本へは240台がやってくる予定。
ミニJCW GPには2種類が用意される。装備充実のフルスペック・モデルと、サーキット走行が前提の、必要なものだけが装備された素のモデル。後者にはエアコンやインフォテインメント・システムも付かない。
ミニ誕生60周年のお祝いから、間もないタイミングでのリリースが喜ばしい。しかも、かなりの熱量を持つモデルでの祝砲となる。
従来から、社交性と運転する楽しさを備えながら、さまざまなモータースポーツ・シーンで活躍してきた長い歴史を持つミニ。新しいJCW GPも、その流れに沿っている。
パワーウエイトレシオは244ps/t
3代目JCW GPは、ベースとする3ドアのミニJCWと比較すると、プラス75psと13.5kg-mを獲得。生産は英国オックスフォードにある、ミニの工場で行われる。
306psのエンジンは、より大きく重いミニ・クラブマンJCWやカントリーマンJCWに搭載されるものと同じ、2.0Lの4気筒ターボ。B48と呼ばれ、BMWグループ内ではおなじみのユニットだ。
最もパワフルなミニとなり、パワーウエイトレシオは、244ps/t。先代比でプラス68ps/tとなる。最大トルクは1750rpmから4500rpmの回転域で、45.8kg-mを発生。ドライビング体験に小さくない影響を与える。
新しいツインスクロール・ターボを採用し、高ブースト圧を達成。大きなメインベアリングを持つ強化クランクシャフトに、軽量ピストン、新しいコネクティングロッドなどを内蔵する。
ほかにも新設計の免震ダンパーに、大きなオイルサンプ、大容量化された冷却系統なども備える。3000台すべてで、駆動方式はFFで、トランスミッションはATとなる。
ATのみとは、サーキット前提のロードカーとしては少し不思議に思える。だがミニは、ZF社が開発した8速ATは、ルノー・メガーヌRS300トロフィーやホンダ・シビック・タイプRと競う、JCW GPのパフォーマンスに重要な役目を果たすとしている。
センターコンソールにはシフトノブ、ステアリングホイールにはシフトパドルが付く。各段のギア比に変更はなく、ファイナルレシオも通常のJCWと同じ、2.96:1となっている。