【ランボルギーニ買いに】5歳児がアメリカで運転 法律、どうなっている? 免許の取得事情に違いも
公開 : 2020.05.07 10:38
「警察官が近寄ると……、運手席にいたのは、なんと5歳児だった」。5月6日、テレビニュースやネット上で、大きな話題になりました。法的にどのような罰則になるのか。日本とアメリカの背景に違いがありました。
「ランボルギーニ買いに」5歳児が運転
「警察官が近寄ると……、運手席にいたのは、なんと5歳児だった」
緊急事態宣言が5月末まで決まったこともあり、静かなゴールデンウイーク最終日となった5月6日。
昼のテレビニュースやネット上で、大きな話題となった。
報道によると、場所はアメリカのユタ州オグデン市内。ユタ州の州都ソルトレイクシティから北へ約60kmにあるオグデン。周辺は雪山登山や夏場のトレッキングなどが盛んな自然豊かな地域だ。
日中、片側4車線のフリーウェイ15号線をパトロールしていた地元警察官は、大きく蛇行する不審な中型SUVを発見。
後方から停止を求め、不審車両を進行方向左側の路肩に停止させた。
警察官がSUVに近づくと窓越しに人の姿が確認できず。ドアを開けると車内には運転席に1人の子どもがいただけ。
印象としては8歳か9歳に見えたそうだが、当人に確認すると5歳だとわかった。
「カリフォルニアにランボルギーニを買いに行く途中だ」という。所持金は3ドル(約319円)だった。
現時点では、処罰対象になっていないが、地元の裁判所などで今後どのような判断が下されるのか?
キーポイントは、走行していたのが公道であることだ。
5歳児、じつは運転に慣れている?
アメリカにおける運転免許証の発行は、各州運輸局のDMV(陸運事務担当部門)が行う。
取得には、日本のマイナンバーに相当するソーシャル・セキュリティ・ナンバーが必要で、筆記試験と実技試験を行う。外国人でも取得は可能だ。
実技試験は公道で行う。しかも車両は受験者の持ち込みだ。親や知り合いが借りて、付き添ってもらう必要がある。
または、国際免許を所持する外国人や、他の州から転居した場合の書き換えで実技試験を必要とすることもあり、そうした場合は自分のクルマを持ち込むことになる。
アメリカには日本のような自動車教習所はほとんどない。そのため、免許証の取得費用は、日本のように数十万円と高額になることはない。
そもそも、広大な土地があるアメリカでは、都市部以外では自宅の広い敷地や畑の中、または所有する山林などで、小さい頃からバイクやクルマを運転しているケースが珍しくない。
筆者(桃田健史)はこれまで約40年間、全米各地で居住し、また仕事で各地を巡ってきたが、そうしたケースを実際に数多く見てきた。
今回の事案でも、この5歳児は日常的にクルマに乗っていた可能性がある。
運転の技量があっても、公道で運転するためには運転免許証という許可証が必要という社会通念上の判断がついていなかったのだと思う。