【民主主義より専制主義?】元F1世界の独裁者 バーニー・エクレストンにインタビュー 後編

公開 : 2020.06.14 18:50

現代のF1を創り上げたとも言える独裁者、バーニー・エクレストンにインタビューしました。89歳になるというのにいまも驚くべき頭の回転の早さを見せるエクレストンですが、その真の姿に迫ることは出来たのでしょうか?

進歩がすべて 最高のドライバーは?

多くのひとびとはこのフォーミュラEに対する見方を以って、エクレストンには公明正大さが欠けていると言うかも知れない。

だが、今回のインタビューで彼は進歩こそがすべてだという考えを主張することで、公明正大であるということは現実的でもあるべきだという見方を示している。

バーニーとトップドライバーたち。
バーニーとトップドライバーたち。

そろそろF1全体についての質問をすべきタイミングだろう。

AC:いま最高のドライバーは誰でしょうか?

BE:ルイス・ハミルトンの名が挙がるのは当然です。ですが、彼と同じくらい素晴らしいドライバーや、同じチームでハミルトンを凌ぐドライバーはいないのでしょうか? おそらく答えはイエスであり、それは間違いなくマックス・フェルスタッペンです。もちろん、いまは少し存在感を失っていますが、セバスチャン・ベッテルの名も挙げない訳にはいきません。こうしたドライバーはチームからサポートされるに相応しい存在ですが、ルイスには最高のサポート体制が整っています。彼のサポート体制は完ぺきです。

AC:ベッテルに何があったのでしょう?

BE:前にもこうした状況を目にしたことがあります。突然まったく無名の新人(シャルル・ルクレールだ)が現れ、見事なドライビングを見せたことで、フェラーリ・チームの全員がこの新人に夢中になってしまったのです。わたしはセバスチャンと親しいのですが、こうした事柄については話をしません。ですが、いま彼は自分が後回しにされていると感じているのではないでしょうか。

ベッテルとレッドブル ハミルトンとフェラーリ?

AC:もし彼のマネージャーなら、どういうアドバイスをしますか?

BE:そうですね。彼はいま難しいポジションにいます。いまのフェラーリとの契約は今シーズンで終了します。もし、今年彼が自らの能力を証明することが出来れば、来年もチームに残るでしょう。もしそれが出来なければ、彼はレッドブルに喜んで移籍するでしょう。レッドブルはセバスチャンを愛しているのですから…

ベッテルはレッドブルを離れるべきではなかったとバーニーも認めている。
ベッテルはレッドブルを離れるべきではなかったとバーニーも認めている。

AC:彼はレッドブルを出るべきだったんでしょうか?

BE:いま考えると答えはノーです。ですが、ほとんどのドライバーはフェラーリのマシンに乗りたいのです。金銭的メリットもあったのでしょう。

AC:では、ハミルトンはフェラーリに移籍すべきだと思いますか?

BE:移籍してもあまり上手くいくとは思えません。彼はチーム全体を掌握することが当然だと思っています。彼が移籍したとして、依然としてチームがルクレールに夢中であれば、ハミルトンはないがしろにされることになります。

AC:ハミルトンについてどう思いますか? F1パイロットとしては珍しいタイプではないでしょうか?

BE:そうですね。彼は特別です。それは素晴らしいことであり、一流の人間性も備えたF1界だけに留まらない人物です。ファッションに手を出したり、ラッパーの友人がいても何も問題はありません。彼の行動を制限するようなマネをすべきだとは思いません。自らの言葉で話し、物議を醸すこともありますが、そうした自らの立場を活かすのは当然です。そして、F1があまりにも安全になり過ぎているとも話していますが、彼の意見に賛成です。だれもケガをする場面など見たいとは思いませんが、いまF1からはドキドキするような興奮が失われています。

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