【英国の新車販売は急減】1946年以来の最低を記録 新型コロナウイルスの影響 どこまで拡がる?
公開 : 2020.05.16 18:50
欧州では外出制限が緩和されるなど経済活動の再開に向けた動きが見られますが、自動車業界には厳しい状況が続いています。そんななか光明はEVの健闘と新たな販売手法の導入、そして中国市場の成長にあるようです。
新車販売は急減 何を学べる?
新型コロナウイルス感染拡大を受けた都市封鎖の影響により、今年4月の英国新車販売は97.3%減のわずか4321台に留まっており、これは1946年以降、1カ月の新車登録台数としては過去最低を記録している。
新車ディーラーはほぼ1カ月の休業を余儀なくされ、不要不急の場合を除いて英国では外出制限が課されていたのだから、こうした結果も当然だろう。
3月は都市封鎖の影響が一部期間に留まっていたにもかかわらず、その新車登録台数は対前年同月比で44.4%の減少に見舞われている。
こうした状況は新型コロナウイルス感染拡大防止策として都市封鎖を行った他の欧州各国も同様であり、フランスでは4月の新車販売が88.8%、イタリアでは97.5%減となった。
予想されたものだったとはいえ、英国自動車製造販売協会(SMMT)トップ、マイク・ホーズの言葉を借りれば、こうした結果は「さらに恐ろしい事態」を予想させるものだと言う。
では、ここからわれわれは何を学ぶことが出来るのだろう?
テスラ販売トップの理由
4月に英国で新車販売台数トップに立ったのはテスラ・モデル3だった。
だが、わずか658台でベストセラーという事実は、あまりにも寂しい結果だと言えるだろう。
2019年4月の販売台数トップ、フォード・フィエスタの登録台数は5606台だったのだ。
それでもこの658台というのは、販売台数2位となったジャガーIペイスの367台、同3位のヴォクゾール・コルサの264台の合計を上回っている。
テスラがトップに立った要因は、バックオーダーの存在と、そのオンライン販売システムにあった。
以前からテスラでは納車にダイレクト・デリバリー・システムと呼ばれる方法を導入していたが、都市封鎖が始まると直接会うことなくすべての納車手続きが完了できるようにしている。
この方法は自宅への納車でもディーラーでの車両受け取りでも行うことが出来、書類手続きはすべてテスラのアプリ上で完結させるとともに、クルマへのアクセスはスマートフォンで行うのだ。
モデル3とIペイスが販売台数1位と2位になったことが意味するのは、EV以外のモデルが対前年比97%以上の販売減に見舞われた一方、EVの減少率はわずか9.7%に留まっているということだ。
商用車は健闘
4月の商用車新車販売台数4321台のうち、個人顧客への納車分は871台に留まっている。
それ以外はすべてが業務用であり、その多くがNHS(英国国民保健サービス)などの医療機関や医療機関向けだった。
エッセンシャルワーカーと呼ばれるひとびとが、その役割を果たすことが出来るよう、こうした車両販売は許可されていたのだ。
それが普段あまり見慣れないモデルが販売台数トップ10に入った理由でもある。
モデル3やIペイスなどのEVは、その低いランニングコストによって業務用車両としての人気を高めており、ジャガーではNHS向けに自社製EVを供給する契約を数多く結んでいる。
その一例が、今年1月にノーサンブリア・ヘルスケアNHS基金と締結した700台ものIペイスのリース契約だ。
さらに、リース契約の普及がフォード・ツアーネオ・カスタムとプジョー・リフターというMPVモデルが、4月の販売台数ランキングで5位と6位に入った理由となっている。