【冬の季節の長所と短所】メルセデス・ベンツE 300de EQパワー(5) 長期テスト
公開 : 2020.05.24 10:20
長距離に最適なディーゼルエンジンと、都市部に適したハイブリッド、ステーションワゴン・ボディという、理想的な組み合わせに思えるE300de。短距離ならEVモードでの走行も可能です。その実力を長期テストで確認します。
積算1万6495km スタッドレスタイヤを装備
長期テスト車のメルセデス・ベンツE 300de EQパワー SEエステートに、スノータイヤを履かせた。
この手の重たい後輪駆動のステーションワゴンは、軽量な前輪駆動のハッチバックより、はるかに雪道が苦手だ。加えて、クルマ好きとしては、リミテッド・スリップデフも不可欠な要素だと思う。
積算1万7373km 悪影響は限定的
しばらく前の話題となってしまうが、シーズン初めの寒波に、ちょうどスタッドレスタイヤが間に合った。筆者の住む地域では、特に不可欠な装備だ。
車重が2tもあり、リミテッド・スリップデフが付いていないなら、なおのこと。選んだ銘柄は、ピレリ・ソットゼロ。マクラーレン720Sでも素晴らしい性能を示してくれた。
なによりこのタイヤの優れた特性が、スタッドレスを履いている、ということに気付かないこと。ステアリングへの悪影響はほとんどなく、乗り心地の悪化も限定的。細かく波打った路面で感じ取れる程度だ。
走行ノイズがややうるさいが、メルセデス・ベンツE 300de EQパワー SEエステートの場合、それに気付くのはEVモードの時くらい。とても静かだから目立ってしまう。
寒い冬という季節が、EVモードでの航続距離へ変化を生んだ。
快適に暖めたぶんだけ、航続距離は短く
筆者が気に入っているのが、強力なバッテリーと、暖房やデフロスター、シートウォーマーの組み合わせで、1分もかからずにクルマが温かくなること。ディーゼルエンジンを始動したままにする、罪悪感もない。
通常の内燃エンジン・モデルより、はるかにフロントガラスが温まるのも早いようだ。スクレーパーで、ガラスの氷を削り取る手間も少ない。
だが、そこから温かい車内を保とうとすると、バッテリーの消費をかなり早めてしまう。通常なら、流れの良い高速道路で40kmほどの距離を電気だけで走行できる。だが、この季節にクルマを暖かくし続けると、30kmくらいしか走れない。
バッテリーが尽きると、冷えたディーゼルエンジンが、不機嫌な目覚めのようなノイズで始動する。EVモードでの距離の短さには、スタッドレスタイヤの転がり抵抗も部分的に影響しているかもしれない。もう少し長い距離を走り込んで、確かめてみたい。
メルセデス・ベンツE 300de EQパワー SEエステートは、順調に距離が伸びている。筆者は大学生の娘に会うために、英国東部のダラムまでよく走る。同僚はパリまで往復したそうだ。
EVモードによる、短い移動時の静寂にも感謝したくなる。でも、E300deの真価が発揮されるのは、長距離移動。相変わらずE 300de EQパワーは、メルセデス・ベンツらしく、しっかり求めた役割をこなしてくれている。