【世界最高モデルの最有力】ベントレー・フライングスパー 6.0L W12気筒 前編

公開 : 2020.05.24 08:50

贅沢で洗練されているだけでなく、際立つ走行性能も兼ね備えたフライングスパー。世界で最高のクルマと表現したくなる内容だと、英国編集部は評価します。昨年初めのモナコに続き、英国の道でじっくりと評価しました。

2238万円のラグジュアリー・サルーン

text:Steve Cropley(スティーブ・クロップリー)
translation:Kenji Nakajima(中嶋健治)

 
長い歴史を誇るAUTOCAR。海外での試乗を済ませているモデルを、改めて英国の道で試乗する際、重点的に評価したいポイントがある。英国の道路事情では、どのような印象を与えるか、だ。

通常、路面が全般的に滑らかなドイツで試乗したモデルの場合、英国ならではといえる路面の傾斜やコーナー、起伏を走らせると、目立った違いが顕になる。アスファルトの欠けや隆起など、舗装状態も悪い場合が多い。

ベントレー・フライングスパー(英国仕様)
ベントレーフライングスパー(英国仕様)

それでは2019年の初め、モナコで試乗した最新のベントレー・フライングスパーを、英国で走らせた印象はどうだろう。16万8300ポンド(2238万円)のラグジュアリー・サルーンだ。

上質さを極めた3チャンバー式のエアサスペンションに、長いホイールベースを持つ。車重もかなりあるが、ラグジュアリー・モデルの場合は有利に働くことも多い。

数年を掛けた、綿密な開発を経ている。ドイツやモナコだけでなく、英国の道でも素晴らしい走りを期待するに充分だ。

全長はおよそ5.3mもあり、全幅はミラーを含めると2.2mを超える。確かにロンドン郊外の狭い道では、大きなボディは少々居心地が悪そうに思える。

しかし、どんな路面やコーナーへフライングスパーを進めても、他のモデルを凌駕する静寂性と快適性、落ち着いた世界に浸ることができる。唯一の例外があるなら、最新のロールス・ロイスファントムくらい。一度、AUTOCARで比較テストをしてみたい。

乗り心地は神秘的な魔法の絨毯

フライングスパーに用意されたドライブモード・セレクターを、ベントレー・モードにする。聡明なエンジニアが味付けした設定だ。まさに、神秘的な魔法の絨毯に乗っているかのような体験ができる。

次々に通過する路面の乱れを、ほぼ完璧といえるボディ制御で穏やかになだめる。この体験を補完するように、車内は静かで、インテリアの設えは素晴らしい。

ベントレー・フライングスパー(英国仕様)
ベントレー・フライングスパー(英国仕様)

フライングスパーが備えるのは、極楽のような快適性だけではない。ベントレーの特徴は、常に優れた走行性能も持ち合わせているところ。多面性を備えたモデルなのだ。

アクセルペダルを踏み倒せば、最高速度は333km/hに到達する。走る環境が許せば。四輪駆動のトラクションも素晴らしく、0-100km/h加速は3.7秒。フェラーリとのドラッグレースもいとわない。

サーキットでの全開走行も、想定の範囲内。ホイールサイズは標準で21インチだが、オプションで22インチも選択可能。タイヤのブランドはピレリ。市街地でのマイルドなマナーだけでなく、最大1Gのコーナリングスピードに耐えるグリップ力も兼ね備える。

先にも触れたが、エアサスペンションは3チャンバー式。最も硬い乗り心地を選ぶと、用いるチャンバーは1本になるが、最も柔軟な乗り心地を選べば、3本が機能する。

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