【売る場所が違う】スバルと三菱 コロナ禍で業績に明暗 コロナ後の方針も、はっきり異なる
公開 : 2020.05.23 05:50 更新 : 2020.05.24 09:51
スバル/三菱の業績発表で、改めて両者の違いが浮き彫りになりました。スバルは全世界販売台数が同3.3%増。三菱は9%減。それぞれが重要視しているマーケットの違い、「コロナ後」の戦略にも違いがありました。
スバル/三菱、トヨタ/ホンダと大違い
改めて、SUBARU(スバル)と三菱自動車工業(三菱)の違いが浮き彫りになった。
主力市場が違うためモデル構成が違い、経営体質も違う。
トヨタとホンダに続き、スバルと三菱が2020年3月期の決算発表を行った。
まずスバルだが、他メーカーが減収減益だったのに対し、販売台数も営業利益も前期比でプラスを維持した。
連結売上は前期比6.0%増の3兆3441億円。全世界販売台数が同3.3%増の103万4000台となった。
どこで、どのモデルによって販売増となったのか?
最も大きかったのはアメリカだ。同市場では小さめのミドルサイズSUVであるフォレスターと、日本未導入のミドルサイズSUV「アセント」の販売が伸びた。
アメリカは現在、市場全体の約6割をライトトラックと呼ばれるSUVとピックアップトラックが占める。
スバルは2000年代にアメリカ市場を最優先する商品戦略へと大きく舵を切り、販売網の大再編によって販売奨励金を抑制し、値引きせずに売れるブランドへと転身した。
その結果、2020年3月期でみると、グローバル販売のうちアメリカが68%を占めるという経営体質となっている。
アメリカでの新型コロナウイルス感染拡大の経済活動への影響が今年(2020年)3月中盤以降に顕著になったため、今回の決算には大きく響かなかった。
では、日本での実績は?
日本市場、グローバルの12%に過ぎず
2020年3月期、日本での販売実績は前期比7.7%減の12万5800台。
このうち、登録車が10万1900台、軽自動車が2万3900台となった。
スバルはグローバルで日本市場が12%に過ぎず、アメリカ市場の5分の1以下。
自動車市場規模では日本はアメリカの3分の1程度なので、改めてスバルは日本よりアメリカでの販売が強いことがわかる。
ただし、スバルは地域別モデルがほとんどない、グローバルモデル戦略なので、日米市場でのモデルラインナップの違いは、アメリカのアセント、日本の軽、そして日本のレヴォーグだけだ。
2020年3月期の国内販売減少の要因についてスバルは「インプレッサの減少などにより」と説明している。
新型の車体骨格「SGP(スバル・グローバル・プラットフォーム)」により運動性能が飛躍的に向上した「インプレッサ」、「XV」、そして「フォレスター」という、ここ数年の新車導入の流れ。
やはり待たれるのは、日本市場最優先での開発と言っても過言ではない「レヴォーグ」だ。
2019年東京モーターショー、2020年東京オートサロンと、徐々にその全貌が明らかになっており、「今年後半」(スバル広報部)の発売が待たれる。
2021年3月期の見通しは未定としているが、レヴォーグ効果でコロナ影響をどこまで食い止められるかに注目だ。
一方、三菱の決算は赤字となった。