【ただの拡大版じゃない】フィアット500X 大人4人がゆったり乗れるチンク、あります

公開 : 2020.05.29 17:20  更新 : 2021.10.11 13:50

「フィアット500X」は、500をSUVにしただけのモデルなのでしょうか? かわいいルックスの小型イタリアンSUVと、「500」との差を検証。走り・内装・後席・トランクの出来を、レポートします。

大きなフィアット500

text:Kazuhide Ueno(上野和秀)
photo: Keisuke Maeda(前田恵介)

「フィアット500が欲しいけど、小さくて……」とお嘆きの貴兄に、ひと回り大きな「500X」が、満足してもらえる選択肢となるか検証してみたい。

Bセグメントに属する本家フィアット500の方は、3サイズが3570×1625×1515mm、ホイールベースが2300mmとコンパクトさがウリ。

フィアットのSUV「フィアット500Xクロス」。
フィアットのSUV「フィアット500Xクロス」。    前田恵介

今回試乗する「500X」はパッと見はそれほど大きく見えないが、実は4280×1795×1610mmもあり、CセグのVWゴルフとほとんど変わらぬ大きさなのである。

フィアットは、「500X」をコンパクトSUVという位置付けでセールスしているが、一年前のマイナーチェンジでSUVらしさを抑えたエクステリア・デザインに改めている。

ポイントは、500よりもひと回り大きいだけでなく、“使えるフィアット500”という役割を受け持つこと。

プント亡き後のフィアットは、Cセグを担当するモデルがなくなってしまったので、「500X」に任せることなったわけだ。ちょうどミニのクロスオーバーと同じポジションニングにある。

価格的にも主力グレードとなる「500Xクロス」が341万円で、ミニ・クロスオーバー・ワンの350万円よりお値頃感がある。

やっぱり500 外観の共通項

フィアット500最大の魅力は、スタイリングだろう。

1959年にデビューしたヌォーヴァ・チンクエチェント(新型500)は世界中で人気を集め、そのデザインを現代に蘇らせたポップでキュートな姿が魅力だ。

フィアットのSUV「フィアット500Xクロス」の内装。
フィアットのSUV「フィアット500Xクロス」の内装。    前田恵介

外観のみならず、往年のモチーフで構成されたダッシュ・デザイン、シートのカラー・コンビネーションや意匠がレトロで、愛らしい雰囲気を漂わす。

姉となる「500X」は、500のデザイン・モチーフを受け継いでいるが、ひと回り大きくなったことからまったりとしたイメージとなった。

ヘッドランプやテールランプは、同じテイストのデザインが受け継がれて500ファミリーの一員であることを主張。

500ファンには嬉しい部分である。

内装は? 使えるアップデート

本家500のインテリアは、ボディと同色のダッシュに丸いメーターがポツン、というデザイン。

「500X」でも同様に、ボディ同色のダッシュというデザインを受け継ぐ。

フィアットのSUV「フィアット500Xクロス」のインフォテインメント。
フィアットのSUV「フィアット500Xクロス」のインフォテインメント。    前田恵介

しかし、500よりも上位モデルという位置づけだけあって、「500X」のメーター類はアップグレードされている。

左右に配されたスピードメーターとレブカウンターの間には燃料計・水温計に加え、マルチ・ディスプレイをまとめた3連タイプのナセルがレトロ調。

また、ダッシュ中央には総合インフォテインメント・システムを受け持つ7インチ・タッチパネルモニターを採用した。

スマホと連携させれば、音楽コンテンツやスマホ内のナビ、電話などをパネルから直接操作できるし、バックモニターもここに表示され、“使えるディスプレイ”としてマイナーチェンジ車の特徴となっている。

記事に関わった人々

  • 上野和秀

    Kazuhide Ueno

    1955年生まれ。気が付けば干支6ラップ目に突入。ネコ・パブリッシングでスクーデリア編集長を務め、のちにカー・マガジン編集委員を担当。現在はフリーランスのモーター・ジャーナリスト/エディター。1950〜60年代のクラシック・フェラーリとアバルトが得意。個人的にもアバルトを常にガレージに収め、現在はフィアット・アバルトOT1300/124で遊んでいる。
  • 前田惠介

    Keisuke Maeda

    1962年生まれ。はじめて買ったクルマは、ジムニーSJ30F。自動車メーカーのカタログを撮影する会社に5年間勤務。スタジオ撮影のノウハウを会得後独立。自動車関連の撮影のほか、現在、湘南で地元密着型の写真館を営業中。今の愛車はスズキ・ジムニー(JB23)

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