【本物のブリティッシュ・スポーツ】MGミジェット 英国版中古車ガイド

公開 : 2020.06.04 10:20  更新 : 2021.07.12 18:46

環境への負荷も小さい、楽しさが詰まったコンパクトな英国製クラシック・ロードスター。本物のブリティッシュ・スポーツカーである以上、それなりの注意も必要ではあります。英国編集部が、詳しく解説します。

英国で長年愛されてきた手頃なロードスター

text:John Evans(ジョン・エバンス)
translation:KENJI Nakajima(中嶋健治)

 
もしマツダロードスターが日本車的すぎて、初代ロータス・エリーゼの価格に納得できないのなら、MGミジェットを選んでみてはいかがだろう。

1961年から1979年まで生産された2シーターのロードスターは、英国では予算に限られたエンスージァストから長年支持されている。状態の良い、クロームメッキ・バンパーのミジェットが、英国なら7000ポンド(92万円)あれば手に入る。

MGミジェット(1961年〜1979年)
MGミジェット(1961年〜1979年)

最高の状態なら1万ポンド(132万円)を軽く越えるが、そんなクルマは珍しい。しかもミジェットの価格は、今後も落ちることはないだろう。

一方で維持費はケチられ、サビをごまかすように分厚く塗装されたボディも多い。殆どのクルマは、年式相応にくたびれているし、用いられている部品も不確かだ。

実際、見た目は1960年代の状態の良いミジェットだったが、年式違いのグリルとバンパーを装備している中古車もあった。怪しいクルマを見分けるためにも、下調べは重要だ。

そんなミジェットだが、初代Mk1が登場したのは1961年。948ccの小さなAシリーズと呼ばれる4気筒エンジンを搭載していた。1年後、1098ccへと排気量は拡大する。

1963年には、エンジンのメインベアリングが強化。フロントブレーキが、ドラムからディスクへとアップデートされている。

続く1964年、初めてのフェイスリフトを受け、Mk2へと進化。若干パワーアップし、半楕円形のリーフスプリングをリアに採用。乗り心地が向上し、インテリアも改良された。

メカニズムの状態よりボディのサビに注意

成長を続けるミジェットは、1966年になると65psを発生する1275ccユニットを獲得。ミニ・クーパーSに搭載されるエンジンの、デチューン版だ。ボンネットの形状が変わり、燃料タンクも大型化。このMk3が、近年では最も人気のあるミジェットとなる。

1968年には、当時のトレンドだったロスタイル・ホイールを採用。インテリアトリムも見直され、新しいテールライトを得た。ボディにも手を加えたいと考えたブリティッシュ・レイランドの開発部隊は、1972年に丸いホイールアーチをリアに与えた。

MGミジェット(1961年〜1979年)
MGミジェット(1961年〜1979年)

1974年、アメリカの安全基準と環境規制の変化に合わせ、ミジェットは大きなゴム製バンパーを装備。環境負荷の小さい1.5Lのトライアンフ製エンジンへ置き換わり、モーリス・マリーナのシンクロ付きMTが組み合わされた。

角張ったホイールアーチも、アメリカ政府がより安全だと判断し、復活している。

このような変遷を経たMGミジェット。ボディは腐食しやすく、何より優先したいのはコンディションだ。英国では、今でもボディパネルが新品で手に入る。しかし安くはないし、塗装も必要となる。

取材した中では、ボディの修復が必要な車両は、取り扱いをやめたと話す専門店もあった。相当な費用がかかるらしい。一方でメカニズムの不具合を抱えるクルマは、今でも仕入れているそうだ。

とにかく沢山調べて、売り手の話は鵜呑みにせず、錆びたクルマは選ばないこと。夢のミジェットライフを、夢のままで終わらせてはもったいない。

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