【アピール力を増した新型フィット】ホンダ・フィット・クロスターへ英国試乗
公開 : 2020.06.16 10:20
流行のクロスオーバー風スタイリングと、e:HEVハイブリッドを採用したホンダのコンパクト・ハッチバック、フィット・クロスター。新しい4代目フィットの魅力を更に引き立てていると、英国編集部は評価します。
世界的なクロスオーバー人気にあやかる
世界的なクロスオーバーやSUVの人気の影響が、ホンダ・ジャズ(フィット)にまで及んだ。新しく生まれ変わった4代目フィットは、ホンダの売れ筋コンパクトカーとして、正常進化を果たしていることは確認済み。
そこへクロスオーバー版を追加し、さらなるユーザーの獲得につなげたい考えなのだろう。フォード・フィエスタ・アクティブや、アウディA1シティカーバーなどと同じ手法といえる。
例に漏れず、フィット・クロスターにもソフトなオフローダーらしいスタイリングが与えられた。車高はわずかに高くなり、黒い樹脂製ホイールアーチカバーやサイドシルカバーをまとう。ルーフレールが機能的。
フロントグリルは専用デザインとなり、16インチのアルミホイールもフィット・クロスター用のオリジナル。インテリアには、撥水性のある素材が用いられた。
英国でのトリムグレードは、EXのみでの展開。英国価格は2万2635ポンド(298万円)となり、同等グレードの標準のフィットと比べると、1250ポンド(16万5000円)ほど高い設定になっている。
最もコンサバティブだといえる、コンパクト・ハッチバックというカテゴリー。新しいクロスオーバー、フィット・クロスターが主力になることはないかもしれない。
それでも、フィットの魅力を引き上げていることに間違いはない。きっと今後、ほかのホンダ製モデルにもクロスターという名前が追加されるのでは、と予測する。
走りはエコなコンパクトカーの期待以上
スタイリングの変更点は最小限。使い勝手や走行性能は、ベースとする4代目フィットと変わらない。
ドライブトレインも同じもの。英国の場合、1.5Lガソリンエンジンとツインモーターの組み合わせによる、e:HEVと呼ばれるハイブリッドのみ。トランスミッションはCVTで、前輪を駆動する。日本ではガソリンモデルや四輪駆動も選べる。
回転域を問わず、ドライブトレインの反応は印象的なほどに良い。システム総合での最大トルクが、25.8kg-mにも達するおかげだ。CVTのぼやけた反応で、楽しさがあるわけではないが、アクセルを軽く踏むだけで不足ない走りをしてくれる。
燃費性能も良い。市街地や高速道路など、さまざまな条件が混ざった試乗で17.7km/Lほどの結果だった。走行性能は、競争心をあおらないエコなコンパクトカーの期待以上といえる。
フィット・クロスターは、標準のフィットより若干ボディが大きい。全高は30mm増え1556mm、全幅は31mm増しの1725mm。全長は46mm伸びて、4090mmとなっている。サスペンションのストロークが長くなり、車高は37mm高くなっている。
このサスペンションの変更が、標準のフィットが抱える低速域での乗り心地を改善しているかといえば、かなり限定的。違いはわかりにくく、直接乗り換えて比較しなければ、気づかないレベルだ。
クロスターでも、低速で荒れた路面を通過すると、明確に振動が伝わってくる。高速域では、優れた姿勢制御を披露するのとは対照的でもある。ステアリングは重み付けがよく、安全志向で扱いやすい。