【え!? トヨタとじゃなくて?】フォルクスワーゲンとフォード、なぜ技術連携強化 EV/商用車/自動運転まで多岐
公開 : 2020.06.14 05:50
フォルクスワーゲンとフォードが、商用車、EV(電気自動車)、自動運転まで及ぶ総括的な技術連携を発表。トヨタはどうなったのか? と思うかたもいるでしょう。そのワケと両社の思惑を桃田健史がお伝えします。
VWとフォード 想定以上の大規模連携
あれ、トヨタはどうなったのか……。
最近のフォードの動きを見て、そう思っているかたがいるのではないだろうか。
フォードは2020年6月10日、独フォルクスワーゲン(VW)と商用車、EV(電気自動車)、そして自動運転まで及ぶ総括的な技術連携を発表した。
具体的には次の通りだ。
商用車
2022年までに、フォードがミッドサイズ・ピックアップトラックをVWブランド「アマロック」として供給する。
フォードのベース車について明らかになっていないが、世界戦略車の「レンジャー」の兄弟車になると考えられる。
小型商用バンでは2021年を目途に、VW「キャディ」をベースにフォード次期「トランジットコネクト」を仕立てる。
その後、積載量1t級の商用バンについてはフォードが主体となりVWへの供給を進める。
EV(電気自動車)
2023年までにフォルクスワーゲンのEVプラットフォーム、MEB(モジュラー・エレクトリック・ドライブ・マトリックス)をフォードが採用した量産車を導入する。
自動運転
フォードが投資してきた米ベンチャーのアルゴ社にVWも投資し、フォードとVW共同での自動運転車の開発を目指す。
ただし、今回の連携は技術分野にとどまり、両社それぞれの資本参加は行わないという。
なぜ、両社連携はこのタイミングなのか?
両社連携 新型コロナウイルス影響?
今回の技術連携に及んだ理由について、2社それぞれがニュースリリースを出し、その中でCovid 19(新型コロナウイルス)拡大の影響を加味したという、CEO(最高経営責任者)のコメントがある。
いわゆる「コロナ後(ウィズコロナ、アフターコロナ)」での自動車産業の変化を指している。
他の自動車系アライアンス、例えばルノー日産三菱でも、こうした理由で技術連携の必要性を強調する。
だが、自動車産業の大変革は「コロナ前」からも大きく動き出してきており、「コロナ影響」はあくまでも、自動車産業の大変革を加速させた1つの要因に過ぎないのではないだろうか。
確かに「コロナの影響」によって、世界市場における自動車の生産と販売が2019年レベルまで回復するには、少なくとも2~3年かかるとも見方が業界内で多いのは事実だ。
だが、視点を変えると、「コロナ影響」は、経営サイドとして、労働組合を含む社員や部品供給など関連企業に対して「世界全体で厳しい局面なのだから、ここで大ナタを振るわざるを得ない」といった言い訳にも聞こえる。
今回のフォード/VWの連携では、商用車の生産拠点の見直し等で人員削減などが行われる可能性があるが、そうして雇用に関してのコメントないのが気になる。
もう1点、気になるのが電動化によるブランドのあり方だ。