【AIテクノロジーに高い収益性を期待】メルセデス MBUXインフォテインメントシステムに多額の投資

公開 : 2020.06.19 07:50

メルセデス・ベンツは、MBUXインフォテインメントシステムに多額の投資を行っています。ボイスコントロールを含めた、オンラインサービスの提供が、クルマの販売に匹敵する収益を得る可能性があるとのことです。

MBUXインフォテインメントシステム

text:James Attwood(ジェームズ・アトウッド)

メルセデス・ベンツは、MBUXインフォテインメントシステムに多額の投資を行っている。

将来的には、オンラインサービスの提供が、クルマの販売に匹敵する収益を得る可能性があると見ている。

メルセデス・ベンツのインフォテインメントシステム
メルセデス・ベンツのインフォテインメントシステム

同社は、2018年、Aクラスに最新バージョンのMBUXを初めて導入し、現在は実質的にモデルラインナップ全体で利用が可能となっている。

システムは、主にボイスコントロールに焦点が当てられている。

メルセデスは現在、より話し言葉に近い言葉の使用を可能とするため、特定の市場で無線によるソフトウェアアップデートを展開している。

中国では、ユーザーが運転中にボイスコントロールを利用して、レストランにテイクアウトを注文し、支払いまで行うことができる機能も立ち上げた。

映画のチケットを予約するサービスも提供されている。

成長が見込まれるAIシステム市場

最近のレポートでは、ハードウェア、ソフトウェア、車載サービスを含む、自動車のAIシステムの市場は、現在の16億ポンド(2154億円)から、2025年には210億ポンド(2兆8300億円)まで成長すると予測されている。

ライバルメーカーのように、アップルやグーグルなどのスマートフォンプロバイダーと提携するのではなく、メルセデスは、独自のシステムに多額の投資を行っている。

メルセデス・ベンツ Aクラス
メルセデス・ベンツ Aクラス

AIシステムが、車両販売のような収益をもたらす可能性について、MBUXのユーザーインタラクションの責任者であるニルス・シャンツは「大きな可能性を見出しています。MBUXへ多額の投資の狙いはそこにあります」と述べている。

シャンツは、現在のところ、食品の注文などの車内サービスの使用について、車両のオーナーに請求する計画はないと述べている。

MBUXハードウェアの販売以外にも、食品注文サービスへのアクセスに対する企業への課金、および第三者のアプリ作成者へのプラットフォームへのアクセス権の販売などが検討されている。

Yelp、トリップアドバイザー、アップルミュージックなどのサービスは、すでに利用可能となっている。

シャンツは「現在のところ、収益を分配するモデルはありませんが、ビジネスモデルが重要な収益源として発展すると確信しています」と語っている。

ボイスコントロール

また、シャンツは、MBUXのボイスコントロールの開発は、安全性を高めるための取り組みの一環でもあると述べている。

このシステムは、タッチスクリーンや物理的なボタンなどでも操作が可能だが、「ボイスコントロールは、ドライバーが道路から目を離さず、ハンドルから手を離さずに操作できるため、最も安全な方法です」と付け加えた。

メルセデス・ベンツのインフォテインメントシステム
メルセデス・ベンツのインフォテインメントシステム

一方、ボイスコントロールは、将来的に、同社の唯一のインターフェースではなくなる可能性もある。

同社のユーザーエクスペリエンス・デザインの責任者である、クラウス・フレンゼルは、別のインタビューでAUTOCARに対し「完璧なコントロール・インターフェースはありません」と語っている。

シャンツは「弊社にはドライバーの注意散漫を研究する安全の専門家がいて、厳格なルールを設定しています」と述べ、運転中のテイクアウトの注文と支払いによる、安全性の低下を否定している。

「テイクアウトの注文は、簡素化および最適化により、注意散漫を最小限に抑えています。わたし達は常に、画面を見なくても何でもできるよう考えています」

「各市場のさまざまな法律やさまざまなルールを考慮する必要もあります」

「特定の国ではMBUXでテレビを視聴できますが、運転中は視聴できないなど、運転中は提供されないサービスもあります」と付け加えた。

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