【純EVの小さな高級車】DS 3クロスバック E-テンスへ試乗 航続距離331km

公開 : 2020.06.18 10:20  更新 : 2022.04.23 11:59

個性的なスタイリングに、強気な価格設定のDS 3 クロスバック。航続距離や価格など、純EVのライバルに及ばない部分はあるものの、小さな高級車という面で充分な競争力が備わっている、と英国編集部は評価します。

個性派コンパクトEVの手強いライバル

text:Matt Saunders(マット・ソーンダース)
translation:Kenji Nakajima(中嶋健治)

 
同じグループPSAに属するプジョーオペルは、コンパクト・ハッチバックで純EVモデルの提供を始めている。一方でDSオートモビルは、コンパクト・クロスオーバーから純EVの投入となった。ブランドの期待を背負ったモデルだ。

スタイリング重視という雰囲気が強い、DS 3クロスバック。純EV版のE-テンスも、キア・ソウルEVやヒュンダイ・コナ・エレクトリックといった、見た目重視のライバルと並べられることになる。

DS 3クロスバック Eテンス ウルトラ・プレステージ(英国仕様)
DS 3クロスバック Eテンス ウルトラ・プレステージ(英国仕様)

どのブランドも、ニッチ市場での成功を狙っているが、なかなか手強い。韓国ブランドの2台は、DS 3クロスバックの上級トリムグレードと同等の価格で、バッテリー容量が大きく航続距離の長いクルマが選べる。

ソウルEVやコナ・エレクトリックにはさらに、バッテリー容量の小さい、安価なグレードが存在する。加速に優れ、よりパワフルだ。車内の実用性でも上を行く。

同じグループ内には、プジョーe-2008というライバルも存在する。バッテリー容量やパワートレインは同じものを積んでいながら、価格は明らかに安い。実用性でも優れている印象だった。

周囲の条件を見るほど、DS 3クロスバックの立場は厳しく感じられる。だがDSオートモビルは、実用性の優劣は最も重要だとは考えていないらしい。ターゲットとするのは、ラグジュアリーな雰囲気とスタイリッシュなデザインを、一番に重要視する層なのだ。

強みはラグジュアリーなインテリア

E-テンスが搭載するのは135psの電気モーターで、航続距離は約320km。0-100km/h加速の時間は、9秒をわずかに切っている。それほど先進的な数字とはいえない。

リアシートの空間は広くはない。大きい子供や大人数名との長距離ドライブには、向いていない。コンパクト・クロスオーバーのユーザーの多くは、リアシートをあまり使用しないと聞いたことはある。だが、おなじ金額を払えば、同じクラスで大人4名が乗れるモデルは手に入る。

DS 3クロスバック Eテンス ウルトラ・プレステージ(英国仕様)
DS 3クロスバック Eテンス ウルトラ・プレステージ(英国仕様)

荷室容量は350Lあり、平均点は確保。荷室の床面は高さの調整もできる。

DSが強みとするのは、ラグジュアリーさ。インテリアは特に豪華な雰囲気にあふれている。試乗車のウルトラ・プレステージ・グレードの場合、アートブラック・バソルトと呼ばれる表皮が美しい。好みは分かれそうだが、手入れの必要なレザーと質感は似ている。

車内に実装されたテクノロジーも充分。レイアウトや使い勝手には、少々難があるようだ。センターコンソールには華やかなスイッチが並び、パワーウインドウやサイドブレーキ、チャイルドロック、ドライブモードなどの操作系が集約されている。

悩ましいのが、すべてのスイッチが似ており、表記もわかりにくいこと。求める操作スイッチを、毎回確認しなけれならない。

インフォテインメント・システムはスタイリッシュさが最優先。モニター式のデジタルメーターも、可読性や鮮明さより、グラフィカルな部分に注力されている。

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