【ゴルフVSフォーカス】8代目ゴルフはベスト・ハッチバックなのか 前編

公開 : 2020.06.25 07:20

8代目へ進化したゴルフ。モニター主体のシンプルなダッシュボードなど変化は少なくありませんが、クラスをリードするハッチバックという立ち位置に動きはあるのでしょうか。ライバル、フォード・フォーカスとの比較試乗です。

知覚品質というゴルフの強みからの変化

text:Matt Saunders(マット・ソーンダース)
photo:Olgun Kordal(オルガン・コーダル)
translation:Kenji Nakajima(中嶋健治)

 
筆者は、1990年代から自動車雑誌を熱心に読むようになった。その頃は、知覚品質という要素が重要になり始めた時期だった。

量産車でいえば、フォルクスワーゲンがその分野の先駆け。4代目ゴルフの強みだった。

フォルクスワーゲン・ゴルフとフォード・フォーカス
フォルクスワーゲン・ゴルフフォード・フォーカス

フォルクスワーゲンを強く統制していた、今は亡きフェルディナント・ピエヒからの指示だったようだ。彼は、足元のシートレールが露出しているのを好まなかったらしい。

彼が上司だったら、と想像してしまう。穏やかな人が、わたしは好みだ。

4代目ゴルフ以降、フォルクスワーゲンはブランドとして品質を重要な要素にしていった。ステアリングコラムの見た目から、ヒータースイッチのしっかり感まで、細部にも気が配られていた。

そんな4代目ゴルフの登場から、20年以上が経過。欧州で最も数多く売れているファミリー・ハッチバックのゴルフは8代目へと進化した。ライバルモデルとの差別化に、新たな思想がもたらされたようだ。

AUTOCARの読者ならご存知かと思うが、8代目ゴルフのインテリアは、物理的なスイッチやボタン類が大幅に減らされている。眺めはシンプルで良いものの、実際に使ってみた印象が気になるところ。

ゴルフの運転席に座ってみる。ステアリングホイールのスポークと、ドアパネルのコンソールは、やや混雑気味だ。周囲に目を配ると、物理的に動かせるインターフェイスは、電子ハンドブレーキとドアロック、ハザードランプのスイッチのみ。

バージョン2.0とよべるインテリア

エンジンのスタートボタンとシフトノブ、3つのペダルも、もちろんある。でも、そのくらい。これこそ次世代のフォルクスワーゲン流インテリア。バージョン2.0といったところだろう。

従来はクロームメッキが適度に施された、視覚的にも満足感の高いインテリアが自慢だったと思う。最新型では、そんなスイッチ類はお役御免とばかりに姿を消してしまった。これは、見方によっては弱みにもなり得る。

 フォルクスワーゲン・ゴルフ 1.5 TSI 130(英国仕様)
フォルクスワーゲン・ゴルフ 1.5 TSI 130(英国仕様)

エアコンのスイッチもないダッシュボードから、見慣れた、上質な雰囲気のゴルフという印象を受けられるのか。丁寧な設計を施されたであろう、あのインテリアが懐かしいのでは。

実際に8代目ゴルフに乗るまで、そんな疑問を抱いていた。しかし、こうして最新のゴルフのインテリアに触れてみると、心配は薄れていく。

バージョン2.0となったミニマリストなインテリアは、操作に慣れてしまえば、従来のゴルフのように扱いやすい。上質でソリッドな素材感は薄れていても、それを超える優れた部分にも気づくことができる。

今回、フォード・フォーカスとの比較試乗の相手に選んだゴルフは、幅広いグレードの中から手頃なものを選んだ。それでも、充分に普通以上の内容を備えている。

ちなみに8代目のゴルフへは、電圧48Vのマイルド・ハイブリッドが追加され、さらにプラグイン・ハイブリッドと、いくつかの高性能モデルも投入される。ゴルフのラインナップは、例によって多岐にわたる見込み。

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