【AIでフェイク動画作成】英Oxbotica、自動運転テストに活用 無数のシナリオで安全性能に貢献
公開 : 2020.07.14 16:50
英オックスフォード大学出身者が設立したスタートアップOxboticaが、フェイク動画を自動的に生成するAI搭載ソフトを開発。自動運転車を現実世界ではなくデジタル上でテストするために使用されます。
自動運転テストに、フェイク動画を応用
英国を拠点とするソフトウェア企業が、フェイク動画にインスパイアされた「先駆的」な技術を開発した。
オックスフォード大学の卒業生によって設立されたスタートアップ、Oxboticaは、「ディープ・フェイキング」と呼ばれる技術を使用している。
最初はフェイク動画を作成するために使用されていたこの技術は、人工知能(AI)を搭載し、わずか数分間で写真のようにリアルな画像を数千枚生成できる。
仕組みとして、2つの共進化するAIシステムがデータを生成する。
一方は最も説得力のあるフェイク画像を作成し、残りの一方はどれが本物でどれが偽物かを検出する。画像を作るシステムと、チェックするシステムが同居しているのだ。
AIの学習が進むにつれて、検出システムは最終的に本物と偽物の違いを見分けることができなくなるだろう。
走行距離に依存する開発 一石を投じるか
この技術は、自動運転車の走行テストに応用することができる。
例えば、雨や霧といった悪条件の中でどのように見えるか、シーン(例えば交差点など)をデジタル状で素早く再現することができる。
道路標識やレイアウトを反転させたり、照明を変更したり、物体(例えば信号機)を別の物体(木)に置き換えたりすることも、高い精度で可能だという。
生成された合成画像は、現実世界におけるありとあらゆるシチュエーションとして自動運転車のテストに使用できる。
現在、自動運転車のテストは現実世界での膨大なテスト走行に依存しており、各メーカーは公道をどれだけ走行したかをアピールしている。
Oxboticaの共同設立者であるポール・ニューマンは、この新システムは「人に魚を与えるのではなく、釣り竿を与えることと同じ」と述べている。
「実車テストに代わるものはありません」としたうえで、彼は次のように語ってくれた。
「しかし、自動運転車業界は安全性の代名詞として走行距離を重視するようになっています。偶然の出会いに頼っているのです」
「ディープ・フェイクを使用することで、無数のシナリオをテストすることが可能になり、実世界でのテストを指数関数的に拡大できるだけでなく、より安全性も向上します」