【3000台限定の最速ミニ】3代目ミニJCW GPへ英国試乗 306psに45.8kg-m
公開 : 2020.07.11 10:20
量産ミニで過去最速の性能を誇るジョン・クーパー・ワークスGP。306psの最高出力による0-100km/h加速は、わずか5.2秒。感心する数字が並びますが、実際の走りも同じくらい印象深いのか、英国で評価しました。
もくじ
ー量産ミニの中で過去最速のJCW GP
ーレーシーな見た目に勇ましいサウンド
ーぎこちない乗り心地と忙しないトルクステア
ー理想は初代のミニJCW GP
ーミニ・ジョン・クーパー・ワークス(JCW) GP(英国仕様)のスペック
量産ミニの中で過去最速のJCW GP
たまたま、筆者は同じ日にミニ・ジョン・クーパー・ワークス(JCW)GPと、ポルシェ・カイエンGTSクーペへ試乗した。ライバル関係にある2台ではない。
数字的な違いは面白い。カイエンGTSクーペは、車重2.2tもあるファミリー向けSUV。最大牽引重量は3.5tもある。一方のミニJCW GPは2シーターのハッチバック。車重1255kgだが、306psもあるストリートレーサーだ。
両極端な2台だが、どちらがドライバーズカーとして優れているだろう。
このミニJCW GPは、3代目。3000台の限定生産で、英国へは575台が入ってくる。日本への導入は240台だという。
最初にJCW GPを名乗るミニが登場したのは、2006年。赤いドアミラー・カバーにLSDを採用。リアシートは省かれ、追加される部品以上の仕上がりを獲得していた。
続く2代目の登場は2013年。英国のファンからはGP2と呼ばれている。素晴らしい走りを獲得していたものの、価格も相応に上昇していた。そして2020年に登場したのが、3代目だ。
エンジンは通常のJCW GPと同じ、4気筒ターボエンジン。最高出力は306ps、最大トルクは45.8kg-mへと増強されている。標準のJCW GPと比較すると、75psと13.5kg-mもたくましい。
ECUの変更だけでなく、強化クランクに新しいピストン、コンロッドが組まれている。ターボチャージャーも大型のもので、冷却系も強化された。
歴代のJCW GPがそうだったように、3代目もこれまでの量産ミニの中で過去最速。記録は更新され、0-100km/h加速は5.2秒で、最高速度は264km/hに達した。ただし、速いことと楽しいこととは、別の問題ではある。
レーシーな見た目に勇ましいサウンド
JCW GPのトランスミッションは、8速ATのみ。筆者は、MTが選べないことに疑問を感じる。英国での価格は、3万5345ポンド(473万円)なり。
車高は、通常のJCWより10mm低い。派手なリアスポイラーなどは、テレビゲームのグランツーリスモに登場した、ミニ・ビジョンにも似るデザインだ。
ホイールは18インチで、カーボンファイバー製のフェンダーアーチにピタリとフィット。見た目はかなりレーシーだと思う。ボンネットの内側には、強化されたサスペンションタワーとストラットブレースが備わる。
インテリアでは、JCW GPとして特別感を高める要素はあまりない。リアシートが省かれクロスメンバーが組まれているが、実際は剛性を高める部品ではないようだ。ダッシュボードには、製造番号が記されたプレートが配される。
それ以外のインテリアは、典型的なミニ。横に並ぶトグルスイッチには、保護用の丸い金属部品が付く。事故時に誰かがスイッチで怪我をしないように、規制で決まっているのだという。
その中央に、エンジンスタート用の大きなトグルスイッチがある。エンジンが目覚めると、かなり勇ましいサウンドを放つ。アイドリングへ落ち着くまでに、数回の破裂音が混ざるほど。
昼間のサーキットまでのドライブなら、気持ちを鼓舞する演出として喜べるかもしれない。しかし、普通の日の早朝や深夜には、近所の人へ迷惑をかけてしまいそうだ。