【求める以上にアグレッシブ】ヒュンダイi30 Nへ英国試乗 高めた日常性
公開 : 2020.07.12 10:20 更新 : 2021.03.05 21:37
サスペンションへ手直しが加えられた、韓国製ホットハッチのヒュンダイi30 N。日常的な扱いやすさに焦点を当てたマイナーチェンジを受けたものの、ハード過ぎる性格には変わりないようです。英国編集部が評価しました。
登場から3年目のマイナーチェンジ
ヒュンダイは、i30 Nの熟成を重ねている。2017年の発表時は、欧州のホットハッチに波紋を投げかけるだけの実力が評価されたモデルだ。
ハッチバックの登場から時を待たずして、i30 Nファストバックも登場した。硬すぎたサスペンションは柔らかく設定を見直し、滑らかなクーペ風のボディを組み合わせている。
AUTOCAR英国編集部では、長期テスト車両として導入していたヒュンダイi30 N。登場から3年も経たないうちに、改良を受けることになった。ライバルと比較して不足ないパワーを備えていても、充分だとは考えていないのだろう。
i30 Nは、運転する楽しさや価値、個性といったホットハッチとしての訴求力を持つ。内容を考えればお買い得価格だ。しかし、競争の激しいホットハッチのなかで、リードできるほどの強みは備えていなかった。
特にアグレッシブでレーシーなサスペンションは、英国の荒れた路面との相性が良くなかった。ヒュンダイR&Dを率いる、 アルベルト・ビアマンに喜んでもらえるような評価を与えることができないほど。
マイナーチェンジを受けた2020年仕様のi30 Nは、サスペンション周りの改良を中心に手が加えられているという。ヒュンダイから明確な説明はないものの、ハッチバックを日常的に乗りやすくしようと考えても、不思議はない。
それでも硬すぎるサスペンション
フロント・サスペンションのスプリングレートは5%ソフトになり、大きなバンプストップを追加。加えてフロントのアンチロールバーも、やや細身のものに改められている。
ダンパーは前後ともに改良を受け、ESPのソフトウエアも書き直された。電子制御のLSDは変わらず、274psの最高出力を叩き出す4気筒エンジンと、6速MTにも変更はない。
柔らかさを増したハッチバックのi30 Nだが、乱れたアスファルトからの影響を受けやすいことに変わりはないようだった。今もクラスの中で、最もハードコアなモデルの1台と呼べそうだ。
カップシャシーを装備したルノー・メガーヌRSほど、小さな起伏や隆起部分で落ち着きがなくなったり、鋭い衝撃を感じるわけでもない。一方でメガーヌRSほど、スピードの上昇とともに、路面と呼吸を合わせるようにダンパーの動きが活発になる、というわけでもない。
以前のi30 Nにはなかった、柔軟性は獲得している。それでも、比較的手入れの良い郊外の道を走っていても、もっと穏やかな乗り心地であれば、と感じてしまう。
舗装したての路面を走っていない限り、スポーツ・モードへ切り替えたいと思わないほどに、硬い。穏やかなNモードでも、サーキット以外で走りを追求しにくいことは、従来どおりだ。