【後席からハイ、メルセデス】次期メルセデス・ベンツSクラスに採用、次世代「MBUX」詳細
公開 : 2020.07.08 21:15 更新 : 2021.04.26 15:09
メルセデス・ベンツの最上級セダン「Sクラス」。その次期型には進化した第2世代「MBUX」が搭載され、リアシートからハイ・メルセデスと話しかけることも。メルセデス流のおもてなしに磨きがかかります。
第2世代MBUXは「リアシートのボスたちに」
今年後半に発表される新型メルセデス・ベンツSクラスは、同ブランドのラインナップで初めて、第2世代のインフォテインメント・システム「MBUX(Mercedes-Benz User Experience)」を搭載したモデルとなる。
このシステムは、現行世代と同じように人工知能によって「学習」していくもので、今回発表された次世代型では、音声認識機能の強化、ディスプレイのアップグレードなどを実現している。
Sクラスの主要市場である米国・中国では、クルマのオーナーは後部座席に座るのが一般的であるため、「フラッグシップの新モデルは後部座席を意識して体系的にデザインされている」という。
そのため、後部座席の乗員は、フロントと同じインフォテインメント機能を利用することができるようになった。
最大3台のタッチスクリーン(それぞれ有機EL技術と触覚タッチフィードバックを備える)で操作することができるので、後席乗員が、「ハイ、メルセデス」と呼びかけることも可能なのだ。
システムの改良には、数多くのセンサーが大きな役割を果たしている。
乗員がクルマから出ようとした際、他車が死角に近づくと車内のアンビエントライトが赤く点滅して注意を促し、助手席のチャイルドシートが正しく固定されているかどうかを検知。
また、ドライバーに合わせてシートやミラーを自動調整したり、ドライバーが振り返ったときにリアのブラインドを上下したり、ハンドジェスチャーに合わせてスライドサンルーフを操作したりすることも可能だ。
大幅なシステムアップデート
新型Sクラスでは、従来のボタンやスイッチ類が27個少なくなり、スワイプや音声操作、ハンドジェスチャーに重点が置かれている。
ただし、ヘッドライトやワイパーなどの一部の機能は、使い慣れた物理的なスイッチ類で操作できるようになっている。
また、システムのトレードマークである「Hey Mercedes」の音声認識機能もグレードアップされ、電話の応対やナビゲーションマップの表示といった従来の機能に加え、車載救急箱の位置を説明したり、Bluetoothでスマートフォンと接続したりすることができるようになった。
ドライバーが「疲れた」と言うと、元気づけるようなプログラムを起動し、後部座席の同乗者が同じ言葉を言うとリラックスさせるプログラムを起動する。
アップグレードの一環として、メルセデスはインフォテインメントのセキュリティも強化した。
特定の機能を有効にするにはPINを必要とするだけでなく、指紋、顔、音声認識の組み合わせを使用して、個別設定へのアクセスやデジタル決済プロセスの確認を行う。
MBUXはメルセデスのアプリに接続して、オーナーが好みのシート位置、ラジオ、照明を含む最大7つの異なるプロファイルを設定し、乗車時にQRコードをスキャンすることでそれらを有効化できるようにすることができる。
設定したプロファイルは、クラウドを介して、同じシステムを搭載した他のメルセデス・モデルに転送することも可能だ。
また、クラウド・ソフトウェアにより、スマートホームに対応した家電製品や家庭用システムを車内から制御することもできる。
さらにAR機能として、前方の道路に方向を示す3次元の矢印を投影することで、ドライバーが道路から目を離す機会を減らしている。