【最後の空冷フラット6】ポルシェ911 993型は今が買い時 英国版中古車ガイド
公開 : 2020.07.23 10:20 更新 : 2021.07.12 18:45
993型のポルシェ911は、最後の空冷フラット6を積んだモデルとして、高い人気を保っています。しかし近年は、価格上昇も落ち着きを見せている様子。中古車を選ぶ際、気をつけたいポイントを英国編集部が解説します。
空冷のポルシェ911の人気は衰えない
先の見えない時代だが、1ついえることがある。空冷のポルシェ911は、今後も人気を保つだろう、ということだ。
空冷最後の911となった、993型が発売されたのは1993年。1998年に水冷式の996型へバトンタッチするまで、6年弱の期間に作られた。996型の伸び悩んだ人気とは裏腹に、993型に対する眼差しは強くなるだけだった。
伝統的な3.6Lのフラット6だけでなく、優れた製造品質とマルチリンク式のリア・サスペンションが、多くのドライバーを虜にした。悪名高い操縦性の神経質さを、大きく改善していた。
英国の中古車を見ると、993型の911はカレラ2カブリオレが最安値で、3万ポンド(402万円)前後から。多くは高走行距離で、4速ティプトロニックATが積まれている。
カブリオレに限っては、あまり整備に気を配らないオーナーが乗っていた場合もある。クルマ選びには注意したい。一方で、完璧な整備記録を持つティプロのカブリオレは素晴らしい911として価値もある。
英国で探した限り、MTのカブリオレもなくはない。13万3500kmほどの走行距離で1995年式のカブリオレが、3万7995ポンド(509万円)だ。
6速MTを搭載したカレラ2のクーペとなると、価格は数千ポンド(数十万円)以上は上乗せとなる。英国で探した中での最安値は、12万8700kmを走った1995年式のクーペで、5万3950ポンド(722万円)だった。
少し落ち着きを取り戻してきた市場
その中間となるのが、MTのタルガ。クーペほどの人気がないかわりに、価格も少し安い。ただし、スライド式のグラスルーフが正常に動くかどうかは確かめたい。修理は高く付く。タルガの発売は1995年だ。
バリオラムと呼ばれる可変吸気システムは、1996年から993型共通で標準装備となった。最高出力は271psから286へと向上している。また1995年には、四輪駆動のカレラ4も、クーペとカブリオレで登場した。
カレラ4は構造も複雑で、純粋主義者は後輪駆動のカレラ2の方を好む。しかし、雨の日の運転となったら、カレラ4の方が安心だろう。
さらに1995年には、軽量で300psを獲得した911RSと、ワイドボディで四輪駆動の911ターボも登場。911のモデルレンジが一気に広がった。
911ターボは、2基のターボで3.6Lフラット6を過給し、最高出力を407psまで向上。さらにターボSも登場し、432psを獲得している。ちなみに後輪駆動のGT2は、450psを絞り出していた。
ターボを買えなかったオーナーは、ターボと同じボディとブレーキ、サスペンションを備えた四輪駆動のカレラ4Sを選んだ。中には、後輪駆動のカレラ2にボディキットを付けたオーナーもいた。
現在の993型の市場を見ると、ターボやターボS、RS、GT2はもはや圏外といいたいほど高騰している。一方でそれ以外のモデルは、少し落ち着きを取り戻している。安価なカレラ2やカレラ4のカブリオレでティプトロか、カレラ2のクーペなどは、いまが買いどきかもしれない。