【なぜそこまで尖る?】フォード・ブロンコ、ジープ的な戦略? ディフェンダーとは違う方向性? 日本正規販売は
公開 : 2020.07.19 05:50
新型フォード・ブロンコが発表されました。「なんで、そこまでワイルドにする必要があるのか?」。筆者(桃田健史)はそう思ったそうです。ジープやランドローバーとの関係図、日本への輸入を考えます。
新型ブロンコ、見た目がワイルド
「なんで、そこまでワイルドにする必要があるのか?」
フォード新型「ブロンコ」の世界発表となったオフィシャル動画を見て、ユーザーのみならず自動車業界関係者の多くが唸った。
まず驚いたのが、ドアなし状態での走行シーン。
事前に公開された画像でも、ドアなし状態のシルエットが映ってはいたが、実車動画はかなりの迫力を感じた。
開発中のテスト車なのかも思いきや、量産車でも「フレームレスドアで取り外し可能」というではないか。
通常のクルマではサイドミラーはドア側に装着されているが、ドアを外すことを前提としてるブロンコはサイドミラーの取り付け位置が車体側にある。
ルーフについても、スライド式のソフトトップではなく、単純な脱着式。
ドアなどを、製造現場では一般的に「ふたモノ」と呼ぶが、ルーフまで分割のふたモノとして、それらを一気にリアラゲッジスペースに詰め込んでしまう。
こうなると、もうクルマというより、大きなオモチャに見えてくる。
インテリアにも驚いた。
高級感を出すことは理解できるが、ダッシュボードがいたってシンプルな造形。そこに、12インチモニターがドカンと組み込まれ、なんともワイルドな印象だ。
こうした特長的な内外装は単なるエンタメではない。なにせ、走りが驚きだ。
戦闘力あるブロンコのオフロード性能
走りについては、「バハのトロフィートラックで培った技術」という説明がある。
バハとは、米西海岸カリフォルニア州サンディエゴからメキシコ国境を越えた先にある、バハカリフォルニアと呼ばれる荒地が広がる半島で行われるオフロードレース。
筆者(桃田健史)は2000年の記念大会で、米国三菱自動車ワークスチームの運営統括ディレクターを務めた経験がある。
当時のパリダカールラリーで使用した車両を、フランスからアメリカに輸送し、アメリカ国内でバハ仕様に大幅改造した。
キーポイントとなるのは、サスペンショントラベル(サスの作業量)だ。ババは路面の凹凸が極めて大きく、さらに高速走行するケースが多い。
そのバハレースでのトップカテゴリーがトロフィートラック。なかでもフォードワークスマシンは、月面走行をイメージする「ムーンウォーク」と称されるほど、サスペンショントラベルが豊富で、当時でも優れた操安性を誇っていた。
そうしたフォードのオフロード走行ノウハウを、最新技術を織り交ぜながら、誰もが驚きの走りを体験できてしまう。
この領域はこれまで「F150ラプター」が担ってきたが、それを車体としてはワンクラスダウンの「レンジャー」ベースで仕上げたのが新型ブロンコである。