【ホンダ、先見の明】CR-Xデルソルとは、なんだったのか? 目論見は外れたが存在感は今振り返っても
公開 : 2020.07.22 05:50 更新 : 2021.10.13 12:20
ホンダCR-Xデルソルとは、何だったのか? あるいはホンダのヒストリーのなかで「遺産」とは呼べないのかもしれません。しかし今振り返ると、歴史上、決して小さくない存在でした。突然変異ではなく最終形態?
ホンダ=FF軽量スポーツのイメージ
ホンダのイメージとして、未だに「FF(前輪駆動)ライトウエイトスポーツ」というイメージを持っている人は少なくないだろう。
そしてそのイメージをより強固にしたのが、1983年に登場した「バラードスポーツCR-X」だ。
ホンダ自らが当時のプレスリリースに「F・Fライトウエイトスポーツ」と銘打ったモデルであり、成り立ちはシビックの兄弟車であるバラードの派生車種という立ち位置だった。
なお、バラードは当時のベルノ店専売車であり(シビックはプリモ店と一部のクリオ店専売)、4ドアセダンのみのラインナップだったため、CR-Xはシビックの3ドアに近い車種としてリリースされていた。
ただしシビックよりも150mmも短いホイールベースと、リアをスパッと切り落としたようなファストバッククーペボディによってシビックよりもスポーティーな味付けとなっており、その切れ味鋭いハンドリングは多くの若者を熱狂させたのである。
そして87年には2世代目へフルモデルチェンジ。
シビックの兄弟車であるバラードが消滅したため、車名は単に「CR-X」となったが、スタイリングは初代を踏襲した。
89年のマイナーチェンジ時にはあの名機、B16A型VTECエンジンを搭載し、未だに多くのファンを抱えるモデルとなっている。
血統を受け継ぐCR-Zも存在したが
この初代、2代目のCR-Xのスタイルを受け継いだのが、2010年に登場したCR-Zだ。
パワートレインこそ時代の流れを受けてハイブリッドとなったものの、ハイブリッド車としては異例の6速MTをラインナップ。
絶対的な速さこそ劣るかもしれないが、走らせて楽しいモデルに仕上がっていた。
と、ここまではファストバッククーペスタイルを持つCR-Xと、その実質的な後継車となったCR-Zのお話となるのだが、実はCR-Xにはもう1世代モデルが存在していた。
それが1992年に登場した「CR-Xデルソル」である。
デルソルとはスペイン語で「太陽の」という意味を持つ言葉であり、その名の通りオープンルーフを持ったモデルに生まれ変わったのだ。
それまではどちらかというと硬派なスポーツモデルというキャラクターだったCR-Xを、一気に軟派な(?)オープンカーにしてしまったのである。
引き続きベースとなったのはシビックであり、170PS(MT車)を発生するVTECエンジンや、シビックより短いホイールベースなどCR-Xらしさを受け継いだ部分もあった。
が、一気に100kg近く増加した車重などもあって、従来のCR-Xユーザーからはそっぽを向かれてしまった。
当時はオープン2シーターのユーノス・ロードスターが大ヒットしており、2匹目のどじょうを狙ったのかもしれないが、あえなくその目論見は外れることとなってしまったのだ。